階級意識の残る欧州諸国
それはクルマも同じこと
格差社会だとか言われているけれど、日本は本質的にはそうじゃない。その格差とは、持ってるカネの話であって、カネがあろうと無かろうと超えられない壁があるわけじゃない。しかしヨーロッパは違う。現代では表向き無いことになっていて、目には見えなくなったけれど、やはり生まれによって最初から見えない壁はあって、どうやってもそれを乗り越えることは出来ない。
それと似たようなことが自動車の世界にもある。今の日本車はクラス分けが曖昧になっている。カローラ→マークU(X)→クラウンという構図は往年のまま健在だけれど、そこにレクサスISやGSやプリウスを放り込むと、とたんに順列が分かりにくくなる。さらには、路上には背の高いミニバンがあふれていて、これを入れるとさらにワケが分からない。アルファードはクラウンよりもエラそうな見た目をしてるが、プラットフォームはカローラ発展型で、直4エンジンがあったりする。どれが格上で、どれが格下なのか、なにか曖昧。それが日本車の世界だ。
しかし、欧州ではクルマのクラス分けは今もハッキリとしている。
もっとも下位にいるのは2座席+αに割り切った小型ハッチバックで、Aセグメントと呼ばれる。街乗りスペシャルもあれば、豊かでない国に向けた値段勝負のものもある。
その上のBセグメントは、日本だと昔リッターカーと呼ばれていたクラス。ただし日本の道や駐車場の狭さゆえに一定のサイズに留まっているヴィッツやマーチに対して、欧州のBセグはどんどん大きくなっていて、今や80年代のゴルフくらいのサイズになった。だから、後ろにもきちんと座れて、長距離移動もこなせる走りの能力が要求される。「必要最小限の実用車」とは今はこれだ。
次のCセグメントはゴルフのいるクラスと言ったほうが分かりやすいだろう。日本ではこのクラスのFFハッチバックは消滅しかかっているが、欧州では依然として大きな販売ボリュームを占める。競争の激しいセグメントである。
ここまでは2BOXだが、その上のDセグメントからは車体形式がセダンになる。昔の日本で言えばコロナ・ブルーバードのクラスなのだが、今ではずっと大きくなって、全長4.7m級まである。ここにはドイツ御三家が送り出している後輪駆動車もあって、ただしそれはプレミアムDセグメントと、別の枠組みで語られることも多い。
それからEセグメント。ここまで来ると、その大半が後輪駆動で、先述のプレミアムDの兄貴分的な顔ぶれが揃う。
そして最後はLセグメント。俗世間のクルマ格付けでは、ここが最上級とされる。
こうして明確にクラス分けがあるから、その中での勢力争いはハッキリと見えるし、また熾烈にもなってくる。そのあたりを飲み込んで選ぶことが輸入車選びのコツのひとつなのである。
そういうわけでAからLまである輸入車のクラス分け。いかにも勉強風じゃあツラいから、学校の学年クラス風に眺めて、楽しみつつ状況を頭に入れちゃいましょうか。