着物に身を包んだ楽しさを胸に、歩いて約10分ほど。重要文化財にも指定される輪王寺、東照宮参道などにアクセスできる。また着付けをしてもらった「うたかた」には、人力車の手配をしてくれるサービスもあり、せっかく日光に来たのだからということでお願いしてみた。
思っていたよりもずっとよい乗り心地と、高めの目線から見える日光の町、森、社寺が新鮮で、ちょっとしたお姫様気分が味わえると喜ぶ彼女。そんなちょっと贅沢な乗り物にゆられながら遠い昔に思いを馳せれば、なんだか古い物語の登場人物になったような気持ちになれるに違いない。しばらく走っただけで、人力車の魅力に魅せられてしまったようだ。それこそ降りるのが残念でしょうがなくなってしまうほど。
とはいえ、そんな素敵なひとときも、食欲には勝てなかった。そのまま二社一寺にもっとも近いお店、二荒山神社のすぐそばにある「さんない食堂」へと向かってもらい、後ろ髪を引かれつつも降りたのだった。
かつてのフランス大統領、大の親日家として知られたシラク氏も訪れたという同店。畳敷の広々とした和室と座りやすい椅子席となる洋室があるなか、やはり着物に合わせてということで和室をチョイス。背後の大きな窓から沢の流れを見下ろせる席で、日光の名産品である湯葉をつかった料理を堪能した。
そして自慢のコーヒー。意外なほどに和食と合うその味に彼女も驚く。きっとシラクさんも気に入ったに違いない、と勝手に想像してしまった。
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