ポルシェが、第3のスポーツカーラインとなるケイマンを投入したのは、ボクスターが第2世代の987型へと移行するタイミング。具体的には06年モデルにおいてのことだ。
ご存じのように、ロードスターのボクスターとクーペのケイマンは、ベースを共有する兄弟の関係。ミッドシップ2シーターのレイアウトを特徴とし、リヤエンジンと2+2の伝統を継承する911よりも、スポーツカーとしての純度はより高い。なら、そのクーペ版の存在意義は?
競合関係にある日産「370Z(国内名フェアレディZ)」やBMW「Z3」が、クーペとロードスターの2本立てで好評を博していたことを考えれば、ポルシェがクーペ版を追加した理由も納得できるだろう。
クローズドボディがもたらすものは、大きく分けてふたつ。ひとつは、ボディ剛性の向上がもたらす走りの能力アップ。もうひとつはクローズドトップならではの安全性やセキュリティのレベルアップや、ハッチバックが生む実用性の向上で、クーペは日常生活への適応力がより高い。
そんな優れた資質を持つポルシェの新作は、世界のファンに大歓迎された。走りの才能や操る喜びに関して、兄貴の911カレラを脅かす潜在能力を実証したのだから当然だろう。で、13年モデルにおいては、満を持して第2世代モデルを投入した。
その見どころは、ミッドシップスポーツらしい迫力を増した容姿だけではない。なにしろ、987型から981型の変身では、プラットフォームやボディ構造からの大改革を実践している。約44%にアルミを使用するボディはその代表で、飛躍的な剛性向上や安全性強化を図りながら、約20kgの減量を成功させた。
60mm拡大したホイールベースや、前を40mm、後ろを10mm拡幅したトレッド、そして10mm低くなった全高、1インチの大径化を図ったホイールも注目のカギで、スポーツカーとしての資質は一段と向上。さらには内装の質感向上も光る点で、全身に行き渡る魅力強化を図っている。
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