シトロエンが、2010年に新たに発表した「DSライン」は、さらなる発展を目指すブランドの挑戦をカタチとして示した新シリーズ。
DSというと……ハイドロニューマチックサスに代表される未来テクノロジーを満載して1955年にデビューした、不朽の名作のDSをストレートにイメージするファンもいるだろうが、それはちょっと違う。現代の「DSライン」が継承したのは、DSのエッセンスと前衛的なムード。ベーシックな「Cライン」とは異なる強烈な個性で、「独創と革新」のスローガンを掲げるシトロエンの存在感を主張するモデルだ。
3タイプがそろう「DSライン」。12年に日本市場にも投入されたDS5は、シリーズのフラッグシップに位置づけられる。コンセプトカーのC‐スポーツラウンジから発展した先進的スタイルが見どころで、「グランツーリスモとステーションワゴンの融合」をテーマとしている。
車格は「Cライン」のC5とほぼ並列で、4535×1870×1510mmのスリーサイズを持つボディは、ワイドな全幅と高めの全高が目を引く点。クーペのように流麗なルーフラインや、切り詰めたリヤオーバーハングも印象的で、プロポーションは他に類を見ないものだ。
では、成り立ちは?C5と同格ということで、「足はハイドラクティブ?」と期待する声もあるだろうが、「DSライン」がこだわるのは、技術というよりもデザインの独創性。プラットフォームはPSA(プジョー・シトロエン)のPF2の発展型で、前ストラット/後トーションビーム式のコイルサスを採用する。
とはいえ、ホイールベースは2725mmとたっぷりとしていて、トレッドもワイド。大きなフットプリントが、安定感のある土台を築き上げている。見た目の押し出し感もDセグメントにふさわしいもので、「新世代フレンチラグジュアリー」を、見事に体現したモデルだといえる。
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