●先代と比べて、全長、全幅ともにサイズアップしたが、全高は低くなっている。より大人っぽく落ち着いた雰囲気になった。
類を見ない個性を追求するのが、シトロエン伝統のクルマづくり。それは、コンパクトクラスでもみごとに実践されている。たとえば……おしゃれなルックスと使い勝手のよさという、フランス車らしい魅力を、シトロエン流にアレンジして02年に登場したC3。秀でた個性が高く評価されて、すぐに欧州Bセグメントを代表する人気モデルとなった。
で、2代目のデビューは10年(欧州では09年秋)のこと。アーチ状ルーフラインを特徴とする丸みを帯びたスタイルは、一見すると正常進化型のように見えるが……「ビジオドライブ」という、C3を特徴づける新コンセプトが盛り込まれていた。
ビジオドライブとは、視覚や視力を意味する「VISION」と「DRIVE」をかけ合わせた造語で、広い視界が生む新鮮なドライブ感覚を表現したもの。それを実現するカギは、C4ピカソでも大好評のルーフ部まで展開される特大フロントウインドウだ。C3は特別に、天頂を意味する「ゼニス」の名をこのフロントウインドウに与えている。
パノラミックな視界と、サンルームにたとえられる特大の開放感がもたらすのは、心を解き放つような居心地のよさと、日常の風景さえも新鮮に見せる不思議なドライブ感覚。2代目に進化したC3は、唯一無二の武器を手に入れたと言っていい。
母体となったのは、PSA(プジョー・シトロエン)の力作である「プラットフォーム1」で、C3は長めのホイールベースとしなやかにしつけられた足を特徴とする。
また、この世代となって、内外装のクオリティも大きく進化した。先代のインパネはプラスチッキーだったが、2代目の仕立てはしっとりと上質。装備の充実も図られ、プレミアムなイメージを強くした。
基本を共用する3ドア版のDS3と強力タッグを組んで、上級Bセグ市場での地位を確立しようというのが、シトロエンの新戦略なのだ。
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