【徹底紹介】メルセデス・ベンツ Mクラスのすべて

クリーン性能が光る時代に適応したSUV

　高級車ブランドにとって、なくてはならない存在となったのがクロスオーバーSUV。近ごろは「猫も杓子も」の印象さえある。そこで、新規参入組とメルセデスを差別化しているのは……ひと言で言えば伝統だ。メルセデスには、Gクラス（かつての名称はゲレンデヴァーゲン）で培った技術やノウハウの蓄積がある。

　97年に投入した初代Mクラスは、その伝統を意識するあまりにオフロード色を強く出し過ぎた感があるが、2代目は「市場の声」を聞いてきっちりと方向を修正。そして2012年登場の3代目は、パワートレーンを進化させるとともに、インテリアの質感を大幅に高めてトータルでの魅力を大きく向上させた。

　じつは、Mクラスや、そこから発展したGLクラス、Rクラスの生産を担当するのはアラバマ州にあるアメリカ工場。その点に変わりはないのだが、作り込みのレベルは代を重ねるごとに確実に改善されてきた。3代目の内装の仕上がりや高級感は、メルセデスに対する高い期待度を裏切らないもので、そこだけを見てもMクラスの進化を実感できる。

　日本仕様としては3タイプが用意されるが、そこでの大きな注目点は、クリーンディーゼルを搭載するML350ブルーテックが左ハンドルから右ハンドルに変更されたこと。さらに、V8の心臓を自然吸気6.2Lから5.5L直噴ツインターボにスイッチすることで、より以上の高性能化と大幅な効率改善を両立させたML63AMGの存在も見逃せない。

　なんと、63AMGのエンジン性能は標準で525馬力／71・4kgm、パフォーマンスパッケージでは557馬力／77・5kgmに達するのだから、「信じられない」の声も聞こえてきそう。クリーン＆低燃費のブルーテック（JC08モード12・5km／L）との二枚看板で新型Mクラスはその存在感を強烈に主張する。