プレミアムブランドを格付けする際に、大きな影響力を及ぼすのは高性能と豪華さを併せ持つフラッグシップクーペの存在だ。そこでジャガーのラインアップを見れば、クーペとコンバーチブルのふたつのボディを持つXKがドンと構えている。
そのルーツをたどれば、1948年に誕生し、「ビューティフル・ファストカー(美しく、速いクルマ)」のフィロソフィーを確立した成功作XK120に行き着くのだから、XKの存在とネーミングはジャガーブランドの象徴と言っていい。
06年に投入された現行型は、新生XKの2代目にあたるモデルだが、先代からの変身ぶりはまさに革命的。なにしろ、先代がいにしえのXJーSのプラットフォームを流用していたのに対して、現行型は先進のアルミモノコックボディを導入したのだから……進化の幅は特大だ。
先代XJに続くボディのアルミ化で得られたのは、クラス最軽量の称号と、先代と比べてクーペで31%、コンバーチブルで48%も向上したボディ剛性。加速性能、ハンドリング、高速安定性……XKはラグジュアリースポーツとしての資質を根本から引き上げることに成功した。
そしてXKは、登場以降も進化の道を走り続けている。2010年モデルにおいては、V8の心臓を4.2Lから5Lに拡大すると同時に、インジェクションを直噴化。さらには、スーパーチャージャー付きのXKRには電制デフのADCも導入し、パフォーマンスをさらに高めた。
で、2011年にはXKR-Sが登場。510馬力から550馬力に強化された過給機付き5Lの心臓を積み、最高速300km/h、0→100km/h加速4.4秒の驚異的性能を発揮する「S」は、まさしく「史上最強のXK」と言える存在だ。
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