老舗の専門ブランドらしく、層の厚いSUVラインアップを揃えるのがランドローバー。そのなかで、プレミアム、ゴージャスという表現がピタリとはまるのは、言うまでもなくレンジローバーだ。で、タフなオフローダーと言えば、やはりルーツのディフェンダーということになる。
なら、89年にリリースされたディスカバリーは? レンジローバーとディフェンダーのDNAを、最良のバランスでミックスしたモデルと表現することができるだろう。
過酷なことで知られた「キャメルトロフィー」の競技用車両に選定されたことからもわかるように、初代は本格クロカンならではのタフな走りと、極めつけのユーティリティを特色とするモデルだった。だが、ランドローバー・ブランドがプレミアム色を強めるのにしたがって、ディスカバリーも変化していく。
98年の「シリーズ2」では、内外装を一新するとともにヒルディセントコントロールなどのハイテクを導入し、現代的方向へとシフト。フォード傘下時代の04年に登場した「ディスカバリー3」では、まったく新しいモデルへと生まれ変わった。
フレーム式からインテグレイテッドボディフレーム式になったボディ、リジッドからダブルウィッシュボーン独立に変わったサスはその象徴。デザインを含めて、時代をリードする上級SUVへの転身を図った。その上で、後方が一段高くなったアルパインルーフラインや、高度な悪路走破性という初代からのよき伝統はきっちりと継承。高いバランス感覚は、さすが老舗の仕事という印象だ。
そして09年には、再度のバージョンアップで「ディスカバリー4」へと発展。フロントスタイルや内装を見ればわかるように、プレミアム方向をより明確にしている。加えて、V8の心臓を4.4Lから5L直噴にスイッチすることで、走りのパフォーマンスや高級感にも磨きをかけた。
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