従来までのプジョー「5番台」モデルの最終型は、FRレイアウトの505だったからブランクは20年以上。FRからFFへの大転換に伴い、505から405にバトンタッチしたのは87年のことだから、当時を知る年季の入ったプジョーファンはさほど多くないかもしれない。
なら、どうして407の後継は、408ではなく508になったのか。背景にあるのは、プジョー上級レンジの大幅な戦略見直しだ。世代交代のタイミングでEセグメントの607を統合する新戦略により、Dセグメントモデルを「4番台」から「5番台」へと上級移行させたわけだ。
上級移行の象徴はひとまわり大きくなったボディ。ホイールベースは2725mmから2815mmに延長され、全長はセダンが4685mmから4790mm、ワゴンのSWが4775mmから4815mmに拡大された。結果として、後席フットスペースを53mm拡大するなど、居住性が大幅にレベルアップした。
もうひとつの話題は、優美さや高い洗練度を特徴とするプジョー新世代デザインの採用。ルックスの風格も大幅に高めた508は、607の後継車としても十分な資格を持つモデルへと成長したと言っていい。
そして驚きを提供したのは、近年の欧州トレンドに沿ったエンジンのダウンサイジングだ。407の心臓は直4 2.2LとV6 3Lだったが、508は1.6L直噴ターボを搭載。「たった1.6L!?」と不安を持つ人もいるだろうが旧2.2Lの163馬力/22.1kgmに対して、1.6Lターボは156馬力/24.5kgmを発生する。より太いトルクをグッと低い回転域から発生することに加えて、4速から6速に進化したATのサポートもあるのだから、心配は無用だ。