シトロエンには、2CVに代表される実用的小型車と、DSやCXの流れをくむ上級車という、異質なふたつのモデル系列が存在する。後者の特徴は、アバンギャルド(前衛的)な造形と、「魔法の絨毯」とも表現される快適な乗り味を生み出すハイドロニューマチックのサス。C5は言うまでもなく、上級シトロエンの伝統を受け継ぐこだわりのモデルだ。
進化をたどると、82年のBX、93年のエグザンティア、01年の初代C5、08年の現行C5という流れ。モデルチェンジのたびに大型化し、存在感を高めてきたことがわかる。現行型はひとつ上のEセグメントに匹敵する大柄なボディを持ち、ダイナミックに変身したスタイルとの相乗効果で、セダン、ブレークとも高いステータス感をアピールしている。
そこで、シトロエンらしさを明確にするのはアバンギャルドなムード。流麗なスタイルと優れた空力性能は、DS、CX時代からの伝統だが、現行C5はそれをモダンかつ洗練されたアレンジでデザインに織り込んでいる。アバンギャルドと言っても、エグザンティア以前のモデルほど個性やアクは強くはなく、絶妙な案配で「シトロエン流」を表現したことが、成功のカギを握っている。
で、最新の変革は心臓一新。新世代の1.6L直噴ターボと6速ATを導入し、走りとエコ性能のバランス点を飛躍的にアップ!トータルとしての魅力を大きく高めて登場した。
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