クロカンの元祖にして、タフなSUVの代名詞でもあるJEEPブランドは、後輪駆動を基本とするクルマづくりを半世紀以上に渡り伝統としてきた。だが21世紀に入ると、より気軽に乗れるジープを望む声も高まってくる。そこで07年モデルで投入されたのが、新世代エントリーモデルのパトリオットだった。
誕生はダイムラー・クライスラーの時代で、開発に際してはグループのシナジー効果が追求された。プラットフォームの基本設計は、ダッジ・キャリバーなどのクライスラー車だけでなく三菱のアウトランダーなどとも共通。さらに、エンジンはダイムラー・クライスラーと三菱、ヒュンダイが共同開発したものといえば、グローバル体制から生まれたモデルであることがわかるだろう。
つまりはエンジン横置きのFFベースで、本国では2WD車も用意。兄弟のコンパス(日本未導入)とともに、ジープの新種という位置づけだ。だが、丸目2灯ライトと7本スロットグリルで構成されるマスクはジープ以外の何者でもなく、コマンダーの流れを汲む直線基調の箱形ボディにも「本物」を主張するタフなムードがしっかり演出されている。
SUVの生息地のほとんどが都会という現実を考えれば、クロスオーバー的コンセプトが時代に合致しているのは明らか。共感するファンは多く、パトリオットの登場でジープブランドの裾野は大きく拡大した。
|