パトリオットの走り味は、無骨なルックスからは想像できないほど洗練されたものだ。とくに光るのは操安性で、高速走行では追い越し車線をリードするペースでも十分な安心感を提供。峠道のハイペース走行においても、反応の遅れや挙動のズレは少なく、セダンとほとんど変わらないペースで飛ばすことができる。
そこから見えてくるのは、FFベース・クロスオーバーのメリット。乗用車からの乗り換えでも、違和感なく融け込むことができるはずだ。ジョイントやきつい段差の吸収は苦手とするものの、全般的に乗り心地も快適で、シャシー性能のバランス点は高い。コンフォート系サマータイヤ(試乗車はコンチネンタル・プレミアムコンタクト2)を履くことも、まとまりのよさの要点となる。
そして動力性能。グローバル開発の2.4Lユニットとジヤトコ製CVTの相性は良好で、発進から高速走行に至るまで、スムーズで力強い走りを実現している。加速のたびに軽いうなり音を発生し、3000回転台からはサウンド全体が荒っぽくなる点は気になるが、回せば十分パワフルな走りを提供してくれる。CVTはオートスティック(シーケンシャルモード)付きだから、その気になればスポーティなドライビングを楽しむことだってできるのだ。
ということで、アクティブ家族の足として、不満のない性能と快適性を備えているのは確か。全体に遮音性を高めれば、走りの質感はより向上するはずだ。でも……パトリオットはジープのエントリーモデル。そこまで望むのは欲張りかもしれない。
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