エクスプローラーが変革をカタチにしたのは02年モデル。フレーム式ボディの伝統は頑固に守ったが、この世代交代でリヤ独立サスやサードシートを導入し、走りのパフォーマンスと快適性、そして実用性や安全性を大幅にレベルアップさせた。
そして06年モデルで、F-150ピックアップをイメージさせるたくましいマスクが印象的な現行型にチェンジ。前作と共通の2890mmのホイールベースや、Aピラーから後ろのボディを見るとたんなるフェイスリフトのように思えるが……実際の変更は大がかり。フレームを一新し、リヤサス設計も変更(トレーリングアームを追加)しているのだから、別物になったと言っていい。
そこまでしてフォードが注力するのは、莫大な利益を生み出してきた主力モデルだから。なんと、95年から00年の6年間と02年には、アメリカだけで年間40万台以上のセールスを記録!SUV市場の世界的リーダーとして君臨し続けてきたのが、このエクスプローラーなのだ。
競合車の増殖や、乗用車ベースのメカを持つクロスオーバーの台頭により、03年から販売は下降線をたどるが、それでも07年、08年の実績は14万台弱。根強い人気を誇る、信頼のブランドであることがわかる。
原油価格の高騰や、サブプライムローンの破綻をきっかけとした景気後退により、アメリカのクルマ界にもコンパクト化やエコロジーの波が押し寄せているのは確かなこと。だが、アメリカの人々の本音は……大きくて、タフなSUVに乗り続けていたい!ミッドサイズSUVを代表するエクスプローラーは、アメリカの伝統や精神を象徴するクルマと言っても過言ではないだろう。
日本車では味わえない個性を、見るたび、乗るたびに体感できるのが輸入車の魅力。つまり、エクスプローラーに乗れば自然と、スケールが大きく、大らかな精神が根づくアメリカを実感できるというわけだ。
とはいえ、威圧感あるビッグなボディは、ルックス面では大きな魅力だが、日常の取りまわしを心配する人が少なくはなさそう。そこで現行パジェロと比べると、全長こそ30cm長いものの、全幅は同等で、5.5mの最小回転半径はむしろ小さめだ。
エクスプローラーが、日本にも適応する素性を持つアメリカンSUVであるという事実は、多くの人にとっては意外かも。しかし、見た目のイメージより、ずっと運転しやすいクルマであることは間違いない。
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