【徹底紹介】アウディ A4のすべて

　アウディ A4

内面からの大改革を実行！存在感をより高めた4代目

　ルーツのアウディ80から数えて第8世代、A4としては第4世代にあたる現行モデル。その長足の進歩は、サイドビューを観察することでわかる。先代とならべれば一目瞭然だが、ホイールベースが大幅に伸ばされ、逆にフロントオーバーハングがグッと短くなったのが注目点だ。

　これは、単なるデザイン変更ではなく、本質や骨格からの革新を意味する。ご存じのように、A4から上のアウディの駆動レイアウトは、エンジン縦置きのFFまたはフルタイム4WD（クワトロ）。伝統の方式を踏襲しながら、革新のパッケージを実現するため、クラッチまたはトルコンとフロントデフの位置関係を前後逆（デフを前）にしたのだ。

　その実現には、前輪用ドライブシャフトの新設が必要だったが、現行A8に続いてA4はこの新レイアウトを導入。結果的に先代比で前車軸は154mm前進し、ホイールベースが165mm拡大され、フロントオーバーハングは68mmも短縮された。

　では、改革の目的はどこにあるのか？ひとつは走りのレベルアップ。フロントの荷重を小さくする方向で前後重量配分を是正し、かつエンジン搭載位置を低くして重心を下げることで、より素直に、さらに気持ちよく曲がる性能を獲得した。加えてロングホイールベース化は、直進安定性の向上や、ピッチングの低減（乗り心地の良質化）に貢献する。

　もうひとつの目的は、より美しいスタイルの追求。これまでのA4は鼻先が長い印象だったが、現行型はノーズライン全体が伸びやかになり、延長されたホイールベースと相まって均整の取れたプロポーションを形成している。FR方式を採用するライバルのBMW3シリーズやメルセデスCクラスと比べても、好バランスが光るスタイルに仕上げられた。

　かつてのアウディは知的なイメージが際立っていた。が、シングルフレームグリルの採用（A4は第7世代）で押し出し感や高級感がプラスされ、今回の骨格の革新により、そこにダイナミックかつスポーティな走りのイメージが加えられたというわけ。躍進を続けるアウディブランドだが、その推進力はデザインと技術のたゆまない革新と進化にある。

　A4に発展して人気と知名度を一気に高めたアウディの中核は、第8世代となり、プレミアムDセグメントの中での存在感を一段と高めることに成功。クーペ&カブリオレをA5として独立させたことも、今のアウディの攻めの姿勢を示している。