従来型A4の弱点は、高速走行時のピッチングと、攻めの走りで顔を出すアンダーステア。それが、現行型では見事に解決された。言うまでもなく、重量配分の補正やホイールベースの延長が功を奏した結果だ。
FF、クワトロにかぎらず回頭時から反応は素直で、そこからの動きも正確。コーナリングの爽快感や安心感を大幅に向上させている。また、フルタイム4WDにもかかわらず、アクセルを積極的に開けていってもアンダーステアに手こずることがないのは、クワトロの駆動力配分を前40対後60に変更した効果が大きい。
そして高速安定性。ハンドリング方向に振るとスポイルされる例もあるが、A4は背反する性能を両立。駆動系配置からの見直しという大手術が、ここでもモノを言う。FFの高速性能も優秀だが、クワトロモデルの「ドン」と座った安定感は一段と際立つもの。とくに、悪天候時の安定性と安心感は「さすがアウディのクワトロ!」と感心させられる。
そうした高度な操安性を追求しながら、日常の快適性や乗りやすさにも十分配慮するのもA4のいいところ。市街地での取りまわしが楽で、全体に走り味が軽快なのは、全車に速度感応式のサーボトロニック・パワステを採用する効果。ボディはひとまわり大きくなったが、狭い駐車場などを除けばその不便は感じない。
そして乗り心地。20mmローダウンの専用スポーツサスに18インチタイヤを履くSラインでも、不快なゴツゴツ感や無粋なロードノイズを十分抑制しているのだから、全体にレベルが高い。剛性感が高いしっかりボディと、きちんと仕事をする前5リンク/後トラペゾイダル(マルチリンク)式のサスが存在を主張する。
動力性能に関しては、1.8TFSIでも何の不満もない。だが、そこにスポーティさや、より以上の上質さを求めるとなれば2.0TFSIがはまる。7速Sトロニックは微速のマナーにやや問題を残すものの、効率やスポーツ性には光るものがある。高性能と高級感のどちらにもこだわるならV6の3.2FSIで決まりだ。
|