プジョーといえば、小粋で、ファッショナブルなクルマの代名詞。そうしたイメージを生む原動力になったのは、80年代に大ヒットを飛ばした205だ。そして、98年に本国デビューを果たした206が、「おしゃれなフランス車」の評価を鉄板にする。さらに、クーペ・カブリオレの「CC」、ステーションワゴンの「SW」を加えたバリエーションの拡大戦略も大当たり!Bセグメントを担う“2”シリーズのモデルが、現代プジョーの興隆の礎になった。
で、“2”シリーズの栄光を継承する新時代の主役として、06年にデビューしたのが207シリーズ。日本投入は07年にずれ込んだが、理由は……PSA(プジョー・シトロエン)がBMWと共同開発をした新世代1.6Lユニットの搭載を待ち、満を持して導入したからだ。
207は、ひと目で206の後継車とわかるルックスを持つが、伝統のつり目は一段と鋭い印象になり、フロントグリルは獲物に食いつこうとするライオンの口を思わせる形状へと変身。スポーティ&精悍の方向で、大胆なまでに個性を強化している。そのインパクトは、407が登場したとき以上か!?308を見れば、207がプジョーデザインの新たな起点になったことがわかる。
もうひとつの注目点は大型化。206比でホイールベースが100mm、前後トレッドが50mmも拡大され、土台からのサイズアップを実行している。そして3サイズは、全長が195mm、全幅が80mm、全高が30mmも大きくなった。Bセグメントに属するコンパクトカーなのに、日本で「3ナンバー」をつけるのは、全幅が1.7mを超えているのが理由だ。
とはいえ、全長は4m強、最小回転半径は5.4m。細い路地をスイスイとはいかないが、日常の場面で取りまわしに苦労することはない。Cセグメントモデルを凌駕するほどの存在感を放つフォルムや、サイド方向のゆとりを増したキャビンとの交換条件と考えれば、「納得」というプジョーファンも多いことだろう。
加えて、大幅に質感を高めた内装や充実の装備群も見逃せない進化。プレミアムBセグに位置するモデルであることを、207は全身で主張している。日本には107は導入されず、1007も消えたため、「ベーシック・プジョー」を好む人の不満はくすぶっているかも。だが、プレミアム化という今の欧州Bセグのひとつのトレンドを、207が確実に捉えているのはたしかだ。
|