【徹底紹介】メルセデス・ベンツ CLSクラスのすべて

　メルセデス・ベンツ CLSクラス

クーペの流麗さとセダンの快適性の両立をメルセデスらしい完成度の高さでアピール

　強く傾斜したAピラーと高めのベルトラインがもたらすのは、自然とスポーティなドライビングへと誘うような適度な囲まれ感。シートのハイト調整を含めて、ドラポジが低めのところで落ち着くようにパッケージされている。アイポイントが低めなため、運転する感覚は｢クーペそのもの｣と言ってもいいほどだ。

　だが、後ろを振り向けば……そこには18cmクラスの乗員でも快適に過ごせる2人分のシートがあり、ちゃんとリヤドアも付いている。

　パーソナルカーとしての使用でも、後席にゲストを招く機会は意外と多いもの。そうした場面で、2ドア車との実用度と快適度の差は圧倒的だ。クーペと同じように粋に、スポーティに乗りこなすことができるのに、実用性はセダンに近い。それこそが、CLSクラスの希有な才能なのだ。現行型はステアリングを4スポークから3スポークに変更。キャビンのムードはよりスポーティになった。

走りの中身もメカニズム面からスポーティにしつけられているCLS

　母体としたのはW211だが、前後トレッドは1595/1575mm（CLS550）と、E550と比べて前が30mm、後ろが15mmワイドな設計。じつはCLSクラスのサスペンションには、R230・SLクラスの技術が展開されている。

　ステアリングギヤ比（ロックtoロック）も、｢ダイレクトコントロール｣導入以前のＥクラス（2.8）よりもクイックな2.6に設定されている。こうした事実が、CLSクラスがルックスだけでなく、走りの面でもスポーティなテイストを追求したモデルであることを物語っている。

　なお、前期型は電子ブレーキのSBC（センソトロニックブレーキコントロール）を搭載していたが、W211と同様に現行型は通常の油圧式ベースのものを採用。63AMGには強化ブレーキをおごり、｢パフォーマンスパッケージ｣にはより大径のコンポジットディスクを搭載する。