艶やかでいて品もあるスタイルに、上質でセンスのいいインテリアを組み合わせたジャガーXKは、まさしく一流にこだわる大人のために存在する英国スポーツ。その走り味は、現行型になってより洗練された。
第一のカギは操縦安定性。土台の基本が旧式な先代は、超高速域や攻めの走りになるとボディのよれが感じられ、走りの安心感や操る楽しみを少なからずスポイルしていた。でも、新型自慢のアルミボディは、そんな場面でもビシッとしている。
また、拡大されたホイールベース&トレッドや、軽量化されたボディも注目のポイント。高速域のスタビリティや安心感、ワインディングでの敏捷性やハンドリングの正確性を、大幅に向上させた秘密がそこにある。エレガントな高級クーペ&コンバーチブルとして、このXKを捉えるファンが多数派だろうが、スポーツカーとしての能力も一流なのだ。
もちろん動力性能も高度。自然吸気4.2Lの304馬力の性能は先代と同じ。安全&快適装備の充実に相殺され、車重も同等レベルにとどまるが、加速感は力強さと軽快感を増している。その印象がより鮮烈なのは、スーパーチャージャーで武装したXKRで、アクセルひと踏みで獰猛な「ビッグキャット」の本性が顔を出す。
加えて、サウンドの演出も効果的。新採用のセミアクティブエグゾーストシステムは、下品にならない程度に迫力ある咆哮を響かせるのが特徴。加速の強烈さ、ハンドリングのキレと同様に、サウンドもXKRはよりスポーティで刺激的な味つけだ。
なら、高級スポーツに求められるもうひとつの要素である快適性は?
XJが使うエアサスではなく、XKの足は、通常のコイルサスと電制可変ダンパーのCATSで構成される。しかし、アルミボディ特有の硬質感はほとんど伝えず、低速域でも、荒れた路面でも、乗り心地は十分に快適で上質な仕上がり。そこでは、やさしく体を包むシートの存在も見逃せない。さらには、クルージング時の静粛性もハイレベル。XKは極上のドライブを楽しませてくれる。
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