アルファロメオが車名に3桁数字を使うようになったのは、上級車初のFF車である87年登場の164から。以来164は166、155は156、145(146は日本に正規輸入されなかった5ドア版)は147へと発展してきた。
なのに……大ヒットを記録し、今のアルファ人気を確立した156の後継車に与えられたのは、157や「プレミアム路線」を明確化した156後継車158ではなく159の名称。2つ飛ばしの数字が、156から大きく発展した159の性格やねらいを如実に表していると言っていい。
まずはサイズ。見た目の印象は、ジウジアーロがフェイスリフトを手がけた156後期型の正常進化版という感じ。だが実寸は、ホイールベースが110o、全長が155o、全幅が75o、全高が15oも拡大されているのだ。4690×1830×1430o の3サイズは、旗艦である166(4730×1815×1445o)とほぼ同等なのだから、堂々として見えるのも当然だ。
ならば、車格アップの道を歩んだ理由は?ひとつは、BMW3シリーズに代表されるライバルに差をつける存在感をアピールするため。そしてもうひとつは、「約15年ぶりに回帰するアメリカ市場を攻略するためには、ボディは大きめのほうが有利」と判断したのが理由だろう。
ちなみに「プレミアムプラットフォーム」と呼ばれる車台は新作。次期サーブ9-5などに転用される計画もあったが、フィアットとGMの提携関係がご破算になったことから、そのセンは消えたと考えていい。156からの進化は、より高度になったサスペンションと大幅強化されたボディ剛性。ドライビングの質感や快適性を追求する面で、基礎レベルから先代より大きなポテンシャルが与えられていることがわかる。
そして内外装。ジュリアスプリントGT(63年)の時代からアルファと親密なジウジアーロと、社内デザインセンターのコラボにより生み出されたスタイルは、スポーティで、セクシーで、粋なまとまり。イタ車ならではのセンスと華を全身から発散させるものだ。で、アルファらしいスポーティテイストで統一された内装は、156から質感のレベルを大幅に高めたのが見どころだ。
そう、高級化が著しいプレミアムDセグメントにおいて、主役のドイツ勢と真っ向から勝負できる存在感や質感をきちんと身につけている。だから、2つ飛ばしの159なのだ
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