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クライスラー 300C |
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クライスラー 300C |
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3.5L V6 |
全長5mの巨体に対して、V6の心臓はどうしても貧弱に感じられる。が、SOHCヘッド採用の3.5Lの性能は十分なレベルにあり、スムーズさや静粛性も水準以上。ATを5速に格上げしたモデルはとくに完成度が高く、「これで十分」、「意外なほど活発」といえる実力を備えている。 |
5.7L V8 |
本命はやはりV8。大排気量がもたらすトルクのゆとり、V8ならではの洗練された回転フィールや静粛性が印象的で、どんなシーンでも余裕綽々のドライブを楽しませてくれる。そして右足に力を込めれば、HEMIならではの速さや豪快さも味わえるのだから、満足度は文句なしに高い。 |
6.1L V8 |
ボアアップによる405ccの排気量拡大に加えて、圧縮比向上(9.6→10.3)、大径バルブ&専用カム採用、吸気系改良、ブロック&クランク強化などのチューニングを実施。高回転・高出力型にしつけられた6.1HEMIは、431馬力/58.0kgmから想像する通りの獰猛な性能を炸裂させる。 |
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TYPE |
CAPASITY |
POWER |
TORQUE |
YEAR |
3.5L V6 |
3518cc |
249PS/6400rpm |
34.7kgm/3800rpm |
05〜 |
5.7L V8 |
5654cc |
340PS/5000rpm |
53.5kgm/4000rpm |
05〜 |
6.1L V8 |
6059cc |
431PS/6000rpm |
58.0kgm/4600rpm |
06〜 |
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SRT8 |
6.1HEMIの搭載にあわせて、専用チューンドサス、20インチ45扁平タイヤ、大径ブレーキ(前輪にブレンボ製4ピストンキャリパーを採用)、スポーツシートを採用したSRT-8は、クライスラーの本気をカタチにした本格スポーツセダン。最高速274km/h、0→100km/h加速5秒の超性能を誇る。しかも、たんなる直線番長ではなく……コーナーだって速い。 |
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ツーリング 3.5/ 5.7HEMI |
じつは本国の「300」にワゴンモデルは存在せず、「ツーリング」はグレード名の1つ。しかし日欧では兄弟車ダッジ・マグナムのワゴンボディと、「300」のフロント部を合体させたモデルの名称として「300Cツーリング」が用いられる。荷室容量は定員乗車時630L、2人乗車時1602Lと大きく、L字型テールゲートの使い勝手も良好。さらにセルフレベリング機構付きリヤサスも採用し、高級ワゴンとして一級の能力と魅力を備える。 |
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アメ車と欧州車のいいとこ取りの走り |
インテリアの項で触れたが、300Cの乗り味は上質。いい仕事をするサスと、十分なクッション性を持つタイヤが凹凸をきちんと吸収するため、どんな場面でも乗り心地は極上だ。というと、かつてのアメ車のような「ふわふわ、ゆるゆる」の足を想像するかも。
しかし、高速走行やワインディングといった場面では、安定を損なうムダな動きや、不安につながるあいまいな挙動は上手にシャットアウト。ハンドルに手を添えるだけでOKの高度な直進安定性や、スポーティな運転にもこたえる正確なハンドリングと高い限界性能をもたらすのだから、300Cの走りはじつに奥深い。
200km/hの高速走行でも特別な緊張を強いることはなく、峠道ではスポーティカーを追いまわすことさえ可能といえば、実力の高さがわかるだろう。特筆すべきは素直で自然な挙動。大径ハンドルから連想できるように動きは穏やかだが、応答に遅れがなく、反応がリニアだから、どんな場面でも高度な一体感を得られる。
FRの駆動方式、適正な重量バランス、しっかり感あるボディやシャシー……ものを言うのは基本の確かさ。アメ車で一般的なオールシーズンではなくサマータイヤ(ピレリP7)を標準で履くことも、安心&上質な走りのカギになっている。大らかというアメ車の美点に、しっかりという欧州車の美点を加えた300Cの走りは、まさに米と欧のいいとこ取りだ。 |
中古車情報 |
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フレッシュさは十二分新車気分で楽しめる |
新車と見まごうほどの高年式・低走行の良コンディション車両が目に付く300C。当然その価格もしっかりしていて、新車に対して8割ほどと堅調。中古車市場が活気づくのはまだしばらく先……というのが、中古車市場における現時点でのポジションだ。
しかし、新鮮味という見方をすれば、それは大きな加点要素となる。なぜなら、新車より手ごろな価格で購入したとしても、周囲からは中古車を購入したようには見えないからだ。
本国アメリカの状況とは違い、日本ではまだまだ珍しいモデルなだけに注目度も高く、満足感の高い買い物となることだろう。 |
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新車登録から7年以内の車両が対象となる認定中古車制度では、最高100項目にも達する徹底した点検整備によって、1年間の走行距離無制限保証が付けられる。ロードサービスの充実ぶりも特筆すべき点。電話でのトラブル診断や応急処置のアドバイスに始まり、サービス工場への牽引やレッカーの手配も行われる。 |
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まとめ |
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アメリカンセダンの新たな価値観を確立 |
ビッグなボディに、強面マスクを組みあわせた300Cの存在感は、メルセデスSクラスやBMW7シリーズ、レクサスLSにも負けないもの。ゆえに「押し出しの強さが人気の秘密」と、短絡的にこのクルマを捉える人が少なくない。しかし、真の魅力は操安性と快適性の両立に代表される高度なトータルバランス。05年北米イヤーカーの受賞は伊達ではない!
では、そんな実力派300Cのベストバイは? ムードを楽しむだけならV6の3.5で十分だが、濃密なアメリカンラグジュアリーの世界を満喫したいのならV8の5.7HEMI。あり余るトルクに身をゆだねてクルージングする感覚や、「マッスルカー」を実感する刺激的ダッシュ力は、5L未満の心臓を積む600万円台のライバルでは味わえないものだ。MDSが有効に働く高速巡航では、意外な好燃費もマークするのだから、トータルで考えた魅力は大きい。
「もっと刺激と速さを!」というスピードジャンキーには、言うまでもなくSRT8がお薦め。726・6万円の価格は、性能と装備内容を考えれば十分、納得できる。
そして、マルチパーパス派に最適なのはツーリング。後部ボディ剛性がセダンほどでないため、走りの正確性はやや見劣りするが、大きなラゲッジが生む実用性、多用途性はそれを補って余りあるもの。「ジャーマンワゴンはありきたりでイヤ」という、個性重視の行動派に強くプッシュしたい。 |
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