新車試乗レポート
更新日:2018.11.10 / 掲載日:2016.05.19

ボルボ XC90 試乗レポート(2016.05.19)

ボルボ XC90

モデルチェンジしたボルボの最上級SUV「XC90」は新世代プラットフォームを導入したのがトピック。さらにプラグインハイブリッドを導入することで新たな付加価値が与えられている。

史上最大級の革新で上級SUVが新時代へ

 XC90のアッと驚く変貌に驚いたファンは多いと思う。まずはスタイルで、次に目が行くのはコクピットだろうが、さらなる話題性を持つのはじつはプラットフォーム。2代目XC90は、新世代の「SPA」を採用する初のモデルとなった。「初のFF車である850シリーズに匹敵する大変革」とボルボ側が言うのだから、いかに革新的かがわかる。

 この「SPA」は、4気筒2Lのガソリン&ディーゼルユニットを上限としたドライブEパワートレーンに合わせて開発された車台。新型XC90の場合は、「T5」、「T6」、「T8」の3タイプの心臓を日本仕様として当初から設定する。

 「T5」はおなじみだが、ほかは初出しなだけに興味をそそる。まずは「T6」。かつては直6の2.9Lターボだったが、新世代機はスーパーチャージャー+ターボのツインチャージ過給システムを採用する2L直4に変わった。「なんだ4気筒か」の声が聞こえてきそうだが、320馬力/40・8kgmの高性能を発揮すると言えば、納得するはず。

 では「T8」は?俄然として注目が高まるプラグインハイブリッドのモデルだ。「T6」をベースに、後輪を駆動する高性能モーターをプラスしたのだから、パフォーマンスも申し分がない。「いきなりプラグイン」の設定に、新世代ボルボの積極的な姿勢がよく表れている。

 さて、話は戻って「T6」だ。こちらは従来型のAWD・・・つまりはハルデックスカップリングを使うオンデマンド式4駆メカを搭載する。なお、「T6」には22インチタイヤを履くスポーティ仕様の「Rデザイン」も設定されるが、今回試乗したのは豪華版の「インスクリプション」のほう。目を引くオプションとしては、ボルボ初となる電子制御4輪エアサスペンション(FOUR・Cアクティブパフォーマンスシャシーとのコンビ)を装着していた。

ボルボ XC90

 さらに大柄になった新型XC90だけに、動力性能については少しの不安もあった。だが、8速ATとの連携もよく、「T6」はどんなシーンでもゆとりある走りを提供してくれる。スムーズさや静粛性についても4気筒のネガを感じさせない仕上がりで、高級SUVに相応しい心臓だと十分に納得できる。右足に「グイッ」と力を込めたときのダッシュ力や速度の伸びも4L級だから、飛ばし屋も満足することだろう。

 ただし、過給によるトルクの立ち上がりがやや急に感じられ、アップシフトを急ぎすぎているような場面もあった。「コンフォートモード」でも加速感がせわしなく感じられるのは、高級SUVとしてはうれしくない。この点だけは成長を望みたい。

 フットワークについては、印象に残るのは重厚な走行フィール。じつは、「SPA」採用の新型XC90は先代より軽く仕上がっているのだが、「ドン」と安定した感覚や穏やかな動きは重厚そのもの。ロングクルーズの快適性には秀でたものがある。

 なら、乗り心地は?エアサスというとふんわりした乗り味を連想するひとが多いだろうが、新型XC90の場合はしっかり感をともなう適度に締まった味つけとなる。低速域では20インチタイヤの重さを感じさせることもあるが、この点は走行距離が進んで足が馴染めば改善されると思われる。いずれにしても、操安性と快適性のバランス点を高めるという点では、エアサスの採用は正解だ。

 このように新型XC90は、さまざまな面で驚きや感動をもたらす新世代のボルボ。活況の高級SUV市場においても、新たな価値観を提供する注目のモデルとなるはずだ。

文●森野恭行 写真●GooWORLD
問い合わせ ボルボお客様相談室 TEL:0120-922-662

Detail Check

ボルボ XC90

ホイールベースを130mm、全長を140mm拡大。前車軸からペダルまでの距離を長く取り、伸びやかなノーズでプロポーションを美しく見せている。

  • コックピット

    ボルボ XC90(コックピット)

  • コックピット

    ガラリとムードが変わったコクピット。厚みのあるダッシュボードと幅広のセンターコンソールが、独特の包まれ感を演出。メーターパネルは12.3インチの液晶パネルで、ナビ表示も可能だ。

  • インテリア

    ボルボ XC90(インテリア)

  • インテリア

    7人乗車でも314Lの容量を持つ。3列目を格納すれば692L、2列目も倒せば1868Lにまで拡大。フラットになる床面も使い勝手がよい。パッケージも進化。インテリアは質感を高め、より華やかになっている。最前列はもとより2列目、3列目のスペースも増している。ゆとりのあるリラックスできる空間となっている。3列目は身長170cm級のひと(先代は160cm級)でも快適に過ごせるようになった。

  • タッチディスプレイ

    ボルボ XC90(タッチディスプレイ)

  • タッチディスプレイ

    中央に陣取るのは9インチタッチディスプレイ。インターフェイスは未来的。シフトレバー手前にはスタートボタンとモードセレクターを配置。

  • エンジン

    ボルボ XC90(エンジン)

  • エンジン

    4気筒2Lガソリンをベースとする3タイプのパワーユニットを展開する。「T6」はツインチャージ仕様の320馬力ユニットを積む。

  • インターセクション・サポート

    ボルボ XC90(インターセクション・サポート)

  • インターセクション・サポート

    安全メカの注目は、右折時に対向車を検知して危険を知らせ、衝突を予想した際は自動ブレーキをかけるインターセクション・サポート。

主要諸元:ボルボ XC90 T6 AWD インスクリプション(8速AT)

全長×全幅×全高4950×1960×1775mm
ホイールベース2985mm
トレッド前/後1675/1680mm
車両重量2080kg
エンジン直4DOHCスーパーチャージャー+ターボ
総排気量1968cc
最高出力320ps/5700rpm
最大トルク40.8kg m/2200-5400rpm
サスペンション前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ前後マルチリンク
タイヤサイズ前・後275/45R20

全国メーカー希望小売価格(発売 2016年1月)

XC90 T5 AWD モーメンタム(8速AT)774万円
XC90 T6 AWD Rデザイン(8速AT)879万円
XC90 T6 AWD インスクリプション(8速AT)909万円
XC90 T8 ツインエンジン AWD インスクリプション(8速AT)1009万円

Body Color

 □クリスタルホワイトパール マジックブルー メタリック エンバーブラック メタリック
 ルミナスサンド メタリック トワイライトブロンズ メタリック オニキスブラック メタリック
 □アイスホワイト エレクトリックシルバーメタリック パッションレッド
 ブライトシルバーメタリック バースティングブルーメタリック オスミウムグレーメタリック
 サヴィルグレーメタリック

汎用性の高い新プラットフォーム「SPA」の特徴とは?

  • SPA

  • 「SPA」はスケーラブル・プロダクト・アーキテクチャーの略。ホイールベースやオーバーハング、全高や車重に制限を設けない、自由度の高い設計を特徴とする。プラグインハイブリッドの「T8」の設定からもわかるように、電動化技術へも対応。XC90、S90、V90 に続き、次期60 シリーズにも展開される。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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