第3回目 だから、輸入車はヤメられない!!

GooWORLD特集記事 [2016.06.30 UP]

ヤメられないワケChapter 3
これが、真の意識高い系

クルマ文化の豊かさを感じさせるヨーロッパの路上風景

もはや品質においてひけをとらない国産車と比べ、プライスが高めの輸入車をあえて選ぶことの意味。それは機能性や表面的な費用対効果だけでは説明ができないもの。輸入車に乗ること、それは乗り手の「意識」にも関わる問題なのだ。

文●沢村慎太朗 写真●GooWORLD

費用対効果だけでは語れないのが輸入車

クルマ文化の豊かさを感じさせるヨーロッパの路上風景

 輸入車の世界。それは21世紀に入って、かなり様子を変えてきてます。

 なにより欧州が変わった。EU統合を経て、ひととお金の行き来が活発になり、また情報コミュニケーションの頻度も深度も大幅に向上した。かつて欧州の自動車メーカーは、われわれクルマ好きの世界ではイメージこそ巨大でしたが、会社の規模は大きくはなく、開発陣も少人数で固定されていて保守的。でも、だからこそ各社それぞれに個性ある自動車を作っていたのです。それが21世紀に入って違ってきた。エンジンや車体など要素技術への知見は高度に洗練されるとともに、平均化されて独自性が薄れてきた。ひとも移動する。たとえばアウディがRS部門を立ち上げるときリクルートしたのはBMWのMの技術者たちですし、逆に2年前にRSのトップがMの責任者に引き抜かれた。フェルディナント・ピエヒがアウディの指揮を執り、パウル・ロシェが親分としてM3やM5を作り、ブルーノ・サッコがベンツのデザインを決める。そういう時代は昔話になりました。

 東欧やアジアの新興国で新車が売れまくる状況も欧州メーカーを変えた一因です。それらの地域で単に販売数が積み上がるだけじゃなく車種も増えた。20世紀は技術の進歩が明瞭で世代交代のたびに性能がよくなりましたが、いまやメカ内容の上昇カーブは鈍り、となるとクーペ風4ドアとかSUV風とか名作再現ものなどの派生車種を矢継ぎ早に送り出してお客さんを刺激しないと販売競争に勝てないのです。はじめて自動車に接するような市場も増えたので、そこでは簡素で安価な商品も必要になります。20世紀に欧州メーカーのラインアップは大中小セダンにクーペが少しみたいな状態が普通でしたが、いまや買収した会社のブランドの商品を含めてモデル数は3倍以上になりました。その拡充に対して、自社開発陣だけではリソースが足らず、ボッシュやコンチネンタルなどの巨大サプライヤーやマグナやリカルドなど総合エンジニアリング会社に設計を丸投げする例も増えてきています。

 アメリカは自国内で年間一千万台の需要がありますし、GMもフォードも日本人が思っているよりも技術の底力はあって、クルマ好きの気持ちに寄り添うような商品を地に足をつけて作っていますが、それでも時代の趨勢には逆らえない。チェロキーの中身がアルファロメオになったときはだれでも驚いたはずです。

 そう。20世紀的なロマンでは21世紀の輸入車は語れないのです・・・。

 そうして20世紀的な観点での個性が薄れて見えてきていると同時に、個々のモデルの仕上がりも荒れる傾向が見られるようになりました。かつては、車種も限られていてモデルチェンジサイクルも長く、おかげで丁寧に開発が行われていることが乗れば気取れたものですが、これだけリソースが分散するとそうもいかないのでしょう。一方で日本の技術も世界に追いついてきました。たとえばベンツ190やBMW3シリーズはコロナやブルーバードとは別次元の機械に思えましたが、いまやレクサスやインフィニティと欧州製ライバルとの差は腰を据えて観察しないと白黒つけにくくなりました。

 相対的なプレゼンスがそういう風になってきてるのに、遠くて土地も人件費も高い日本まで輸入するのだから値段は高くなる。そんな輸入車を買って乗る意味はあるのか・・・。

 あると思います。

 たしかに一見してわかる個性は薄れてるように見える。国産ライバル車の倍もする値段なのに内容はそこまでとは思えないクルマもある。でも輸入車の現行モデルに乗ってみると、作り手の志向がいまそこにある機械の現実の先に置かれているように思えることが多いのです。お客さんが要求する性能やエンターテイメントを、すでに知られてる知識を上手に組み合わせて限られたコストの中で成立させるという点においては、いまの日本車はとても優秀です。かたや輸入車は、そういうお利口さんで効率がいい既知の洗練みたいな方法論の向こう側を見てるような気がする。超越的なことをクルマでやろうとする。90年代の衝突安全ボディ、00年代の直噴ディーゼルやダウンサイズ過給、そしていままさに彼らが全開で突進している自動運転。なにしろ形になって見えてる現実のものじゃなく、どうなるか定かでない向こう側の何か。それを目指しているのですから、プロセスとして出来た現行品は完璧であるはずがなく、綻びもあるのです。

 だから費用対効果みたいなことばかり言うなら日本車でしょう。しかし、彼らがいまの向こう側に超越して掴もうとしている何かを自分も分かろうとし、またその姿勢に共感しようとするなら輸入車です。残念ながら日本車には、いまここにある現実の向こう側へ跳ぼうとするエネルギーはない。新型プリウスはいかにも優秀な社員が作った秀作ですが、そういう何かは発見できませんでした。

 メーカーが遥か向こう側を目指して尖鋭的な商品を開発する。目指している視線の角度に共感したユーザーが、あちこちに欠点はあるし尖鋭性がゆえに使いにくいその商品を、自らの努力で使いこなす。それに応えてメーカーが製品を改良していく。かつてそういう美しい構図がありました。ニコンの一眼レフだってソニーのウォークマンだって、はたまたポルシェ911だって、そうやって一流品になっていったのです。

 意識高い系なんて言葉を聞きます。それは、既に正しいとされてることを片っ端から取り込んで、それを上手に組み合わせて事に当たるようなひとを形容するらしい。いやはや、そんな作業を自慢げにやってるひとが意識が高いとは笑わせる。小賢しいってだけでしょう。ほんとうに意識を高く持つならば、いまここある何かではなく向こう側を見なくちゃいけない。現世利益の費用対効果を越えて、作り手とともに向こう側へ行きたくなる。全てとは言いませんが、そんな付きあいかたができるのが輸入車なのだと思います。

クルマ文化の豊かさを感じさせるヨーロッパの路上風景

空冷式ポルシェ911(タイプ930)やレトロ感漂うシトロエン2CV日常の足としてサラッと乗りこなすひと。それらと同じ道をメルセデスの新しいSクラスが走る。クルマ文化の豊かさを感じさせるヨーロッパの路上風景だ。

Profile
自動車ジャーナリスト 沢村 慎太朗
●研ぎ澄まされた感性と鋭い観察力、さらに徹底的なメカニズム分析によりクルマを論理的に、そしてときに叙情的に語る自動車ジャーナリスト。

タイケンしたら、ヤメられない!?いまこそねらいたい!オススメ輸入車

ヤメられないワケChapter 4
中古車でしか出会えない絶版名車 ホンモノは輝きを失わない

シトロエン C6
シトロエン C6

DSブランドの新設や小型車やEVに力を入れる最近のシトロエンは、一段と近代化が推し進められている。そんななか、過去のモデルのなかに、かつての伝統を守る宝石のような1台がある。その名はシトロエンC6。

文●GooWORLD

ハイドロサスの世界を味わうラストチャンス

 ブランドとは、いうなればモノ造りにおける哲学。シトロエンは、戦前から存在するブランドだが、つねに先進技術や革新のデザインを自社のプロダクトに反映させてきた。過去のシトロエン車を紐解くと、現代の視点から見ても、自動車という乗り物の枠を超えた、ひとつの工業アートと呼べるモデルがずらりと揃う。

 とくに鮮烈な存在感を放つのが55年に登場したDS。滑らかなアーチを描くライン、リヤタイヤを隠すスパッツ、そしてハイドロニューマチックと呼ばれる独自のサスペンション構造など、まさに個性の塊と言える存在だった。そしてその血筋を受け継ぐのが、今回紹介するC6。全長4.9mのボディサイズを持つ最上級セダンだが、シトロエンの伝統に則り、前輪駆動方式を採用。サスペンションには「ハイドラクティブIIIプラス」が与えられ、極上の乗り心地を実現する。

 そして、極めつけはシトロエンならではの斬新なスタイリング。かつてのDSを彷彿とさせるボディラインは、同クラスのドイツ製サルーンとは明らかに異なる佇まい。凹面形状のリヤウインドウからトランクにかけてのデザイン処理は、ほかのどのクルマにも似ておらず、同時代のシトロエン車のなかですら異彩を放つほどだ。

 エンジンは3LV6が積まれ、感触はじつに滑らか。ハイドロサスによるフラットライドな走りは、高級車にまったく独自の世界観を与えている。すでにC6は生産終了し、最後のハイドロサス搭載車のC5もカタログから消えたいま、C6はコアなファンのなかで垂涎の1台となっている。

CITROEN C6
シトロエン C6
キャビンを大きくとったパッケージングで、室内も広く快適。まるで宇宙船のようなシルエットは、街でも大いに注目されるはず。シトロエンの傑作だが、物件は多くない。
2006年シトロエン C6 エクスクルーシブ(6速AT)

全長×全幅×全高 4910×1860×1465mm
車両重量 1820kg
エンジン V6DOHC
最高出力 215ps/6000rpm
最大トルク 30.5kg m/3750rpm
排気量 2946cc
サスペンション前 ダブルウィッシュボーン
サスペンション後 マルチリンク
中古車参考価格帯 240万円〜400万円(06年〜10年※全グレード)

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MERCEDES-BENZ 190E
旧き良き時代の小型セダン
メルセデス・ベンツ 190E
メルセデス・ベンツ 190E

 現在のCクラスに相当する小型セダンが190E。この時代のメルセデスは、しっかりとコストをかけて造られているので時代を超えたイイモノ感がある。なお、レースで活躍した16V系はプレミア価格。

中古車参考価格帯 40万円〜160万円(85年〜93年※全グレード)

CLASSIC MINI
中古車が高騰する旧ミニ
クラシック ミニ
クラシック ミニ

 1959年からほとんどデザインを変えずに2000年まで生産され続けた旧ミニ。その魅力はなんと言っても、愛嬌のあるデザインと軽快な走り。いま、コンディションのよい車両は値上がりしている。

中古車参考価格帯 40万円〜300万円(88年〜00年※全グレード)

PORSCHE 911
絶大な人気の空冷911
ポルシェ 911(タイプ930)
ポルシェ 911(タイプ930)

 1998年に登場した996型以前の空冷911は、現在の水冷モデルにはない独特のサウンドや走りが魅力。なかでもビックバンパーと呼ばれる930型は、現実的に入手可能かつ人気が高い世代だ。

中古車参考価格帯 540万円〜1500万円(74年〜89年※全グレード)

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