メルセデス・ベンツは文化活動やスポーツへの支援を通じ、ラグジュアリーブランドを愛好するユーザーとのコミュニケーションを図っており、ゴルフメジャーの最高峰であるマスターズのスポンサードもそのひとつ。アジア人で唯一招待を受けた九島辰也氏が現地の模様をレポート。
文●九島辰也 写真●メルセデス・ベンツ日本
自動車メーカーとスポーツの親和性は高い。もちろん、それはマーケティングの見地によるものがほとんどで、スポーツ業界やイベントをサポートすることで、ブランディングを高めようという考えだ。日本では国産メーカーが広い範囲でそれを行っている。
それでは海外メーカーはというと、メルセデス・ベンツあたりはかなり積極的。いまやAクラスからAMG、マイバッハまでラインアップするため、広いジャンルのスポーツ競技にスポンサードしている。サッカー、ゴルフ、乗馬、テニスといったように。
でもってゴルフはというと、言わずもがなのマスターズ。ゴルフ好きならだれもが知るメジャー大会のグローバルスポンサーをつとめている。
その理由はわかりやすく、メルセデスオーナーにゴルフ好きが多いから。日本でも想像がつくが、どうやら海外でもそんな傾向が強い。彼らは独自に「メルセデストロフィー」なるアマチュアゴルファーの大会を開催している。1994年から世界60以上の国と地域で毎年約6万人が参加するという規模のものだ。もちろん、日本でも世界大会に向けての予選を行っている。
さて、マスターズである。今回世界のメディアを集めてその観戦ツアーが行われた。イベントスタートは決勝前日の土曜日。早朝、ジョージア州アトランタからAMG S63カブリオレを駆ってオーガスタへ向かった。高速道路よりもカントリーロードをメインとした3時間半のドライブである。
ここでメルセデスがアピールしたいのは、ロングドライブの快適さはもちろんだが、マスターズというある意味ゴルフを嗜むジェントルマンの集いにこのクルマがぴったりハマること。とくにAMG S63カブリオレは2ドアのカブリオレというカジュアルな要素を持ちながら、凛とした空気を発揮する。
さらにいうと、5LDKプール付きなんて別荘が建ち並ぶオーガスタの高級リゾートエリアに着くと、その威力はアップ。セレブリティの生活を題材にしたアメリカの連続テレビドラマのようなシーンを展開する。いやはやお見事である。
ちなみに、そんな大型別荘はこの時期、選手や大会関係者に貸し出される。そんな文化もまたアメリカ的だが、そもそもの住人もそうだし、マスターズに出場する選手たちもきっとリアルなセレブリティライフを送っていることだろう。なぜなら月曜日の朝は彼らのプライベートジェットでオーガスタ空港の滑走路は混雑していたからである・・・。
ご存知のように、今年のマスターズはS.ガルシアが制した。プレーオフでJ.ローズを下し、メジャー74勝目で初制覇を遂げる。個人的に応援していた日系の血も入っているR.ファウラーは最終日苦戦して11位タイ。我らがヒデキ・マツヤマも11位タイだった。
マスターズのグローバルスポンサーをつとめるメルセデス・ベンツ。じつはオーガスタの会場は、どんなスポンサーも看板などの宣伝器具を立てられないという厳しい決まりがある。なので、メルセデスは会場近くの高級別荘エリアを貸切り、顧客やメディアをそこに集めた。全米からゴルフ好きのメルセデスユーザーが呼ばれたわけだ。展示されるのは下の4つのモデル。どれもハイエンドユーザーが気になりそうなものばかり。
全米屈指のプライベートコースで、メンバーになるには何十年も待たなければならないと囁かれる。名物のアーメンコーナーは11番〜13番。選手は神に祈る。
運営はすべてボランティアによる。システムはしっかりしていて観戦もスムーズなのが素晴らしい。
今回のプレスツアーはおもにヨーロッパからのメディアを呼んで行われた。自動車専門のオートモビルメディアではなくライフスタイルメディアが中心。メルセデスのお膝元ドイツからが多く、ドイツ人にはゴルフ好きが多いことがわかった。なので、クルマに不慣れな人もいたが、それでも快適にドライブできるのがメルセデスの真骨頂。最新のオートパイロットシステムはみなに重宝がられた。
上の写真はアトランタのマンダリンホテル。ここを起点にオーガスタへ出発。アジア地区からは筆者ひとりでの参加であったが、ゴルフ談義でコミュニケーションは万全だ。