車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.30 / 掲載日:2015.11.26

【気になる中古車試乗判定】BMW 1シリーズ(2015年11月)

BMW 1シリーズ

2009年BMW 1シリーズ(先代モデル)/E87

GooWORLDの掲載物件のなかでも、とくに人気の高い中古車をモータージャーナリストとともに試乗チェック!注目モデルは本当にお買い得なのか!?リアルなレポートをお届けしたいと思います!

文●森野恭行、竹岡圭、GooWORLD 写真●GooWORLD

今月の中古車は BMW 1シリーズ(先代モデル)/E87

  • シンプルでなおかつスポーティなコックピット

    BMW 1シリーズ コックピット

  • シンプルでなおかつスポーティなコックピット

     デザインは極めてシンプル。にもかかわらず、コックピットにはBMWらしいスポーティさが漂う。低めにセットできるドラポジも特徴で、ドライビング好きのハートをくすぐる要素がいっぱいだ。ちなみに、当時の「116i」にはiドライブはオプションの設定。試乗車は社外品のナビを装着する。

  • 大人4人であれば室内の居住空間も十分確保される

    BMW 1シリーズ 内装

  • 大人4人であれば室内の居住空間も十分確保される

     同クラスのFF車と比べると、ハッキリ言ってキャビン空間のゆとりは少なめ。でも、標準的体格なら、大人4人でのドライブも苦ではない。荷室容量も330~1150Lと十分なものだ。スポーツシートの設定もあるが、ノーマルシートでもサポート性に不満はなく、スポーティな運転が楽しめる。

  • BMWの流儀に従った走り重視のメカニズム

    BMW 1シリーズ エンジン

  • BMWの流儀に従った走り重視のメカニズム

     バルクヘッドにめりこむように搭載されたエンジンに注目。前後50対50の重量バランスにこだわるのが、BMWのFR車の流儀なのだ。中期型までの「116i」の性能は115馬力/15.3kg m(1.6Lは非バルブトロニック)だったが、最終型は直噴化により122馬力/16.3kg mへと引き上げられた。

  • ステップトロニック付きの6速ATはスマートな変速

    BMW 1シリーズ タイヤ・シフト

  • ステップトロニック付きの6速ATはスマートな変速

     ホットモデルの「130i」には6速MTの設定があったが、主力の4気筒モデルはステップトロニック付き6速ATを採用する。変速フィールは洗練されたものだ。タイヤはBMWだからランフラットが標準。「116i」は195/55、「120i」は205/55の16インチをスタンダードの設定としている。

BMW 1シリーズ 試乗判定レビュー

自動車ジャーナリスト(森野 恭行・竹岡 圭)

クラス唯一の後輪駆動を採用した5ドアハッチ

編集部●中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回はBMW1シリーズの先代2009年式で、走行距離も5万7000kmと、いままでよりさらにリアルな中古車がやってきました!

森野●たしかに中古車としてはよくありそうなスペックだ。

竹岡●前回紹介したゴルフVIのライバルだけど、BMWってだけでちょっとおしゃれな感じがする(笑)

編集部●この個体は個人所有で、先代BMW1シリーズのベーシックグレードにあたる「116i」です。この先代1シリーズが登場したのは2004年になります。

森野●1シリーズはCセグメントで唯一の後輪駆動だし、前後の重量配分とか、BMWの走りへのこだわりが感じられるよね。

竹岡●コンパクトカーって普通はパッケージング効率を優先するけど、このクルマはスタイリングを優先してる。ゴルフよりも後席の頭上スペースもないし足元も狭い。

森野●出た当時は個人的にはこのデザインがあまり好きじゃなかったけど、時間が経ったいま改めて見ると、個性があっていい気がしてきたな。

竹岡●出たときから地味なやつは存在感が消えていっちゃうから(笑)

BMW 1シリーズ

編集部●1シリーズのハッチバックモデルの概略をざっとおさらいすると・・・、2004年の導入当初は116i=1.6L・115馬力、118i=129馬力・2L、120i=150馬力・2Lの3モデルでスタート。2005年には265馬力を発生する3L直6の130iが追加されます。2007年にマイナーチェンジを受けて118iがなくなり3モデルに。今回登場するのはこの世代です。そして、2010年にはエンジンが直噴化されて少しパワーアップしました。


竹岡●たしか116iは新車時に300万円を切った価格だったよね。

編集部●そうです。導入初期の116iは288万円で、120iが約360万円、130iはMスポーツ仕様が標準で、グンとお高く487万円でした。116iはいわゆる戦略価格で、上級モデルに比べると装備はかなりシンプル。ライトも標準はハロゲンですし、カーナビも付いていない物件がほとんどです。

森野●300万円以下で呼び込んでおいて、『BMWらしい走りや装備を考えると、上級グレードでもお安いでしょ』っていう作戦だ。でも、ライトはともかく10年前のナビだったら、ないほうがいいかもしれない。

竹岡●じゃあ120iの中古車がお得ってこと?

編集部●ところが、中古車となると116iがほとんどで、118iや120iはかなり少なくなります。とくにマイナーチェンジ以降の120iだけをターゲットにするのはなかなか難しい状況なんです。

竹岡●なるほど。それで中古車はいくらくらいで売ってるのかな?

編集部●2006年までの前期型は、ほとんどがアンダー100万円。後期型は80万円から150万円。130iだけは別モノで、200万円からというのが相場です。

森野●その価格で買えるなら魅力ありなんじゃないかな。じゃあ、そろそろ試乗に行こうか。

価格を考えれば十分に購入を薦められる内容

自動車ジャーナリスト(森野 恭行・竹岡 圭)

竹岡●さて、試乗してちょっと意外だったのが、こんなにパワーなかったかなってこと。最近のクルマは低回転からトルクがあるから余計に。

森野●俺は嫌いじゃないよ、こういう回転で頑張るタイプ。その分、燃費は悪いけどね。

竹岡●普通に走っているときにはもちろん問題ないけど、追い越しとかの中間加速がもうちょっとほしい。

編集部●年式や走行距離を感じさせるような部分ってありましたか?

森野●ボディや足まわりは問題ないね。ATの変速にちょっとショックを感じることがあったくらい。

竹岡●ランフラットじゃない通常タイプのタイヤに交換してあったせいもあると思うけど、新車当時の記憶よりも乗り心地はよかった。

森野●ただ、女性が街乗りに使うにはハンドルは重すぎるかな。

竹岡●たしかに(笑)もし女性が運転するなら、試乗してたしかめた方がいいと思う。でも、これが100万円以下で買えるなら十分アリでしょ。

森野●認定中古車だといくら?

編集部●100万円から150万円なので、ちょっと割高と感じるかもしれません。安心感か費用対効果を優先するかは、ユーザー次第ですね。

森野●この次の世代で1シリーズはターボ化した。だから、BMWの自然吸気エンジンを小さなボディで味わえるという意味ではおもしろい選択だ。走りもゴルフやA3より楽しいよ。

竹岡●コンパクトは国産も含めるとたくさんあるから、ちょっと違うクルマがいいというひとにオススメ。わかりやすくカッコいいし(笑)。

1シリーズ レビュー評価

BMW 1シリーズ

人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるBMW 1シリーズ レビュー評価をまとめます。
※各項目に対して10点満点評価。

自動車ジャーナリスト 森野 恭行のコメント

自動車ジャーナリスト 森野 恭行

CセグのハッチバックにもFRを採用するのがBMWのこだわり。3代目となる次期型はFFと噂されるだけに、E87・1シリーズはお宝と化す可能性もある。

自動車ジャーナリスト 森野 恭行
●関東版創刊時より健筆をふるう自動車ジャーナリスト。スポーツカーに目がなく、タイプ964のポルシェ911を新車から23年所有している。

ポジショニング 8点

 E36、E46時代の3シリーズ・コンパクト(ti)が前身。「1シリーズ」として独立したのはこのE87からで、BMWはCセグメント市場への本格参入を果たした。群雄割拠の市場にあって「BMWらしさ」を主張するのは、上質な走りのテイストと、個性的なロングノーズ2ボックススタイル。全長4.2mクラスのコンパクトなFR車は、世界的にも貴重な存在だ。

装備 7点

 基本の装備は整っているが、ベースモデルとして用意された「116i」の場合は、快適&装備の多くがオプションでの設定となっていた。つまり、“素”の「116i」はかなりシンプルな内容。オプション満載のケースとの差は大きく、年式により装備の内容が異なる例があるから、その点はきちんとチェックしたい。「充実度」を重視するなら後期型が狙い目だ。

走り 9点

 FR車の魅力は、素直なハンドリングや上質なステアフィール。そこに、軽量・コンパクトの要素が加わると・・・1シリーズのような軽快かつ奥深いフットワークが楽しめるモデルが完成する。しかも、E87の心臓はターボではなく自然吸気だから、すべてがナチュラルで、気持ちいい。「速さとゆとりも欲しい」という人には、2Lの「120i」をお薦めする。

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭

使いやすいコンパクトカーサイズのクルマを探していて、個性のあるクルマに乗りたいなら、先代1シリーズはなかなかいい選択肢なのではないでしょうか!

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2015-2016 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

ポジショニング 10点

 プレミアムコンパクトセグメントの唯一のFRモデルということで、走りにこだわり派にはピッタリな選択ですよね。普通のファミリーカー的コンパクトカーじゃイヤだというオトーサンの、差別化アピールとしてはもちろん、自分専用車として持つにも、ボディサイズ的にちょうどいい感じ。老若男女誰が乗ってもイヤミがないのが、これまた高ポイントです。

装備 7点

 水平基調、ドライバーオリエンテッドと、BMWの基本が盛り込まれたインテリア。裏を返せばエントリーモデルからして、しっかりBMWの世界観に浸れるということです。元々BMWはラグジュアリー系の装備が得意なブランドではないので、おもてなし系の装備はほぼありませんが、FRの走りを純粋に楽しもうと考えるなら、これも表現のひとつかも。

走り 8点

「あれ?もう少しパワフルじゃなかった?」てな感じで、「116i」は意外とおとなしい。もちろん普段使い+αで考えても、パワー的には十二分なので、あくまでもイメージ上の問題です。それよりも問題はパワステが重いこと。最近すっかり軽いのに慣れてしまっているせいか、妙に重く感じちゃう。女性が車庫入れする際には、少々掛け声と気合いが必要です。

GooWORLD編集部

本誌サイトでの物件掲載台数は400台以上。初期モデルはすでに10年以上が経過しており条件のチェックが必要ですが、お買い得度は高いと言えます。

ポジショニング 9点

「予算はあまり潤沢ではないけど、輸入車らしい個性や走りを楽しめるクルマがほしい・・・」そんなワガママなユーザーにこそ注目してもらいたい先代1シリーズ。年式的にちょっと古いイメージがあるかもしれませんが、認定中古車もまだまだ流通しているため、ビギナーであっても保証付きで安心して乗ることができます。クラス唯一の後輪駆動をぜひ!

装備 7点

 今回取材した「116i」はヘッドライトもハロゲンランプを装備するベーシック仕様。でも、上級グレードとのルックスの違いはホイールとリヤのエンブレムくらいで、けっして寂しい感じがしないのがいいところ。室内はいい意味でシンプル。デュアルオートエアコンを標準で備えるのは、さすがプレミアムブランドです。ねらうなら質感が上がった後期型!

走り 8点

 先代「116i」は自然吸気の1.6Lエンジンですから、けっしてパワフルとは言えませんが、ベーシックな116iでも6速ATを装備するため、スポーツモードを駆使すれば軽快な走りを楽しめます。後輪駆動であることを感じさせてくれるのは、コーナリング中の素直なステアリングフィール。予算が許すなら2Lエンジンを搭載する「120i」がオススメです。

BMW 1シリーズ DETAIL CHECK

BMW 1シリーズ

2009年式 BMW 116i(6速AT)

全長×全幅×全高4240×1750×1430mm
ホイールベース2660mm
車両重量1370kg
エンジン直4DOHC
総排気量1596cc
最高出力115ps/6000rpm
最大トルク15.3kg m/4300rpm
サスペンション前/後ストラット/5リンク
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク

中古車参考価格帯

45万円~230万円(2004年~2011年 ※ハッチバックのみ)

モデル主要変遷

2004.09先代1シリーズを発売開始
2005.10「130i」を追加
2005.10「Mスポーツパッケージ」を設定
2007.05マイナーチェンジ
2008.02「1シリーズクーペ」を発売
2008.10一部改良 ←今回の中古車
2010.04「1シリーズカブリオレ」を発売
2010.05「120iクーペ」を追加
2010.05エンジンを変更

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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