車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.15 / 掲載日:2015.04.23

【徹底紹介】プジョー 208

プジョー 208

プジョーの独創性が表現されたコンパクト

プジョー 208(後面)

凝った面構成により、躍動感や艶やかさをアピール。LEDポジションランプ採用のヘッドライトやLEDリヤコンビランプも、先進性や個性を表現する重要アイテムとなっている。

 プジョーにかぎらず、クルマは世代交代のたびに大きくなっていくのが常識だった。でも、208が選択したのは、これまでとは違う手法。ボディサイズを小さく、車重を大幅に削減しながら、車内空間を拡大するという「非常識」に挑戦したのだ。

 そのカギを握るのは、PSA(プジョー・シトロエン)が次世代コンパクトカーのために開発した「プラットフォーム1」。最新の設計、素材、工法を駆使することで、極めて賢いダウンサイジングを成功させた。具体的には、前作207と比べて全長は85mmも短くなり、4mを切るサイズを実現。全幅は10mmナローな1740mmとし、最大で100kgものダイエットを行っている。

 コンパクトに生まれ変わった208は、プジョーらしい小粋で個性的なスタイルとも相まって、まさしく「名車205の再来」と呼べるモデルに仕上がった。この路線変更は、ファンにも強く支持されている。

 加えて、208はメカの大胆な刷新も実施した。象徴となるのは新開発の3気筒1.2Lユニットで、レスシリンダー&ダウンサイジングを具現化。スタート&ストップシステムとの組み合わせにより、今の時代が求めるCO2削減(燃費低減ともイコール)を実現させた。

プジョー 208(側面)

 当初の2ペダル車は、207から引き継いだ4気筒1.6Lと4速ATのコンビだったが、14年初頭に3気筒1.2LとETG5との新コンビが投入され、一段とエコなラインアップとなった。ちなみに、5速ETGの正式名は5速エフィシェント・トロニック・ギヤボックスで、シングルクラッチ式のロボタイズドMTだ。

 そして、もうひとつの話題は「GTi」の復活。1.6L直噴ターボ搭載車は、当初156馬力の「GT」だったが、13年7月に200馬力のTHP200ユニットを積む「GTi」へと発展・継承された。205GTiの正統な後継車の登場に、ファンが歓喜したのは言うまでもない。

文●森野恭行 写真●内藤敬仁、北川 泉
お問い合わせ●プジョーコールTEL:0120-840-240

Detail

  • プジョー 208(正面)

  • プジョー 208(背面)

プジョー 208 シエロ(5速ETG)

全長×全幅×全高3960×1740×1470mm
ホイールベース2540mm
トレッド前/後1470/1470mm
エンジン直3DOHC
総排気量1199cc
最高出力82ps/5750rpm
最大トルク12.0kg m/2750rpm
サスペンション前/後ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後Vディスク/ドラム
タイヤサイズ前後195/55R16

新車価格

3ドア

208 アリュール(5速MT/5速ETG)213万2000円/223万4000円
208 GTi(6速MT)316万2000円

5ドア
208 プレミアム(5速ETG)227万5000円
208 シエロ(5速ETG)253万円

発売:2008年3月

モデル主要変遷

2012.11208を発売
3ドア、5ドアが同時にデビュー。当初のエンジンは、新開発3気筒の1.2L、1.6L、1.6Lターボの3機種をラインアップ。
2013.02特別限定車「アーバンヴィンテージ」を発売
「シエロ」をベースとした限定車。17インチアルミホイール、人工皮革とアルカンタラのコンビシートで高級感を高めた。
2013.07「GTi」「XY」を追加
2つの新グレードが登場。「GTi」は200馬力の高出力を誇るスポーツモデル。「XY」は高級感を重視したラグジュアリー仕様。
2014.01新エンジン「ピュアテック」搭載車を発売
1.2L 3気筒エンジンの高効率化、スタート&ストップ機能を備えた新世代のピュアテックを搭載。出力、トルク値は従来と同じ。
2014.04特別限定車「エンヴィ」を発売
新デザインの15インチホイール、クロームドアミラー、専用シート、ブラウンシートベルトを採用した特別限定車が登場。
2014.06特別限定車「ロランギャロス」を発売
全仏オープンテニス協賛30周年を記念したモデル。オレンジのアクセントが入ったドアミラー、レザーシートが特徴。

大型化によらぬクオリティアップで個性を発揮する

プジョー 208(コックピット)

 208が属するのはBセグメント。207より取りまわし性を向上させたのが見どころで、さらにこのクラスでは日本市場で3ドアが選べるモデルもかぎられている。そこに日常の使い勝手のよさという才能と、フレンチコンパクトらしいおしゃれさへのこだわりを見出すことができる。

 心配なのは実用性だが2540mmのホイールベースは207と同じ。パッケージを工夫することで、後席ニールームの50mmの拡大と、ラゲッジの15Lの増量を実現したのだから、「けっこう広い」という感想を持つ人が多いことだろう。5ドアモデルならば、ファミリーユースにも無理なく適合する能力がある。

 そして、目を引くのは斬新なコックピット。メーター類を上方に置き、小径・楕円ステアリング越しに見えるようにした設計は、これまでになかった新鮮な運転感覚を生む。奇をてらっていると思う人もいるだろうが、プジョーは新型308でも視線移動を小さくしたこの配置を踏襲し、ブランドの個性としている。はじめは違和感を覚えるだろうが、つきあっているうちに慣れるものだ。

 また、207からさらにレベルアップを図った質感も自慢のポイント。触感も上質なソフトパッドやアクセントとなるクローム加飾を採用することで、クラスを超えた「いいもの感」を表現する。7インチタッチスクリーンを核とするマルチメディア対応システムの搭載も208の先進性を明快に物語っている。

  • プジョー 208(内装1)

  • プジョー 208(内装2)

  • プジョー 208(ラゲッジスペース)

    ラゲッジ容量は207を15L上まわる285Lを確保。6対4分割の後席を倒せば1076Lまで拡大できる。

  • プジョー 208(シフトセレクター)

    5速ETGのシフトセレクター。積極的にMモードを選択して、パドルでシフトを行えば、さらにキビキビとした走りを引き出せる。

  • プジョー 208(タイヤ・ホイール)

    上級のシエロやプレミアム同様、アリュールにも195/55R16サイズのタイヤとアルミホイールを標準装備する。

一貫した理念で実を結ぶシンプル&軽量化

 新世代3気筒ユニットのアピール点は、なんといっても高効率。3気筒化は元来フリクション低減に有利だが、ピストンのリングやピン、タペットなどにDLC(ダイアモンド・ライク・コーティング)を施すことで、さらに摩擦ロスを低減している。また、5速ETGと流行りのDCTを比べれば、低コストにプラスして、シンプル&軽量というメリットを見出せる。

  • プジョー 208(プラットフォーム1)

  • 「プラットフォーム1」はすべての設計やレイアウトが効率的。サスはプジョーお得意の前ストラット式、後トーションビーム式を採用する。

  • プジョー 208(エンジン)

  • 直噴ターボ技術をダウンサイジングと組み合わせる例が多いだけに、自然吸気+ポートという噴射のPSAの戦略は目を引く。まさにシンプル・イズ・ベストだ。

軽量ボディには高出力Mの208GTiは刺激的

プジョー 208 GTi

GTi

 目利きもうならせるのが208GTiだ。200馬力の1.6L直噴ツインスクロールターボと6速MTのコンビは、RCZで定評のあるもの。それを車重1.2トンの208に積むのだから、弾けたように加速する。加えて、専用スポーツサスと17インチ45タイヤのコンビが生む優れたロードホールディングも光る点で、荒れた路面の峠道でも冴え渡る走りを楽しませてくれる。

元気一杯の走りを生む大幅に軽量化したボディ

 5ドアのプレミアムで車重は1090kg。207スタイル1.6は1210kgだったのだから、208の軽さが光る。その利点は発進の瞬間から実感でき、積極的にアクセルを開けていけば元気な走りを楽しませてくれる。正直、82馬力/12kg mの数値から想像するよりも、ずっと快活な加速フィールを備える。
 まわせばそれなりに音量は高まるが、音質が軽やかで、元気な走りを演出するBGMと感じられるのがいいところ。とくに、5速MTで乗る1.2Lモデルは楽しさがいっぱいだ。加えて、クルージング時の静粛性や洗練度も高いレベルにある。
 5速ETGの変速マナーは、シングルクラッチ式の自動MTとしては十分にスムーズなもの。アクセルを抜いてシフトアップを促し、そこから踏み込む技を習得すれば、より心地いい運転ができる。だが、発進や低速の加減速をスムーズにこなすのは得意ではない。クルマとの相性を、実際の運転で確かめたいところだ。
 そしてハンドリング。軽やかなフットワークとしなやかな乗り心地の融合は、205に通じるプジョー味といえる。オーバーサイズ気味のタイヤを履くため、たまに無粋な振動やノイズも伝えるが、サスのつっぱり感はなく基本の乗り味は上質。ひとクラス上の快適度を自慢とする。

小さなサイズと元気な走りが往年のプジョーを思わせる

 208に乗って「懐かしのプジョー」を思い起こさせるのは、軽やかなフットワークだけではない。1.2Lユニットを中高回転域までまわして、快活な走りを引き出す感覚も、欧州コンパクトらしい「快楽のツボ」となっている。装備的にはアリュールで不満はないが、「より上質」を望むならプレミアム、パノラミックガラスルーフまでを求めるならシエロが候補となる。ちなみに、208の後席は頭上高の余裕が小さめ。より以上の広さや開放感、もしくはアクティブな走りの能力を求める人には、208ベースのクロスオーバーである2008というチョイスもある。

  • 中古車市場データ

    中古車市場データ

  • 中古車市場データ

    Goo-net登録台数は90台前後なので、さほど中古車は多くない。しかし相場は135万円だから、比較的リーズナブルに買える。スポーツモデルのGTiはやや高めの価格で流通する。

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