ニュービートルのカブリオレが02年に登場し、06年には流行りの格納式ハードトップを採用するクーペ・カブリオレのイオスがデビュー。この時点で、ゴルフカブリオレの復活は「なし」、と理解していた。
でも……モデル拡張に熱心なVWの戦略は、想像を超えていた。第6世代の最後を飾る、新型ゴルフカブリオレを投入してきたのだ。「V」のボディに「W」のマスクをつけた先代が消えたのは02年だから、じつに9年ぶりのリバイバルとなる。
そこで新型のルックスを見ると、光るのはエレガントさやスポーティーさ。伝統のロールバーを取り去って、伸びやかさを強調したスタイルに加えて、傾斜を強めた前後ウインドウや「R」と共通デザインのテールランプも目を引く。トップを上げても、降ろしても、とてもチャーミングな仕上がりと言っていい。
そしてパッケージ。イオス(日本では販売終了)と比べて全長は短めだが、キャビンはフル4シーターの広さを確保。実用的トランクスペースも備えるのだから、「さすがゴルフ!」と感心してしまう。ソフトトップにこだわる点を含めて、ゴルフカブリオレのよき伝統を継承する。
では、肝心の乗り味は? まず驚いたのは、快適性の高さや上質なドライブフィールだ。その要点となるのは強いボディ。オープン化はボディ剛性の低下をまねくのが常だが、アンダーボディを中心に補強を施したカブリオレは、13500Nm/度というクローズドボディに迫る静的ねじり剛性を実現している。
いわゆる剛性感は、ハッチバックのゴルフに匹敵するレベル。荒れた路面や段差に遭遇しても、ボディや幌、内装はミシリとも音をたてないのだから見事だ。さらに、130kg増しとなった車重も乗り心地面ではプラス方向に働き、ひとクラス上の「しっとり&しなやか」が際立つ快適な乗り味をものにしている。同じ17インチタイヤを履くゴルフTSIハイラインとの比較でも、乗り心地はより快適に感じられるほどだ。
しかも、強いボディときれいに動く足は、操縦安定性の面でもじつにいい働きをしている。峠道では正確かつ信頼できるハンドリングを提供し、ハイペースの高速走行においても高度な安定性や安心感をもたらすのだから、スポーティー走行の場面でも「オープンのネガ」をまったくと言っていいほど意識させない。
で、気持ちいい走りのもうひとつの決め手は静かさ。ロードノイズやエンジンノイズの遮断も素晴らしいが、感心するのはソフトトップの遮音性の高さだ。前端に強固なプレートを内蔵することで、幌の膨らみを抑えたのがポイントで、高速走行においても風切り音を「そよそよ」程度に抑えることに成功している。
静かなことに加えて、ソフトトップ内張の仕立てはクーペに近い入念なものだから、運転しているとついオープンカーに乗っていることを忘れてしまうほど。全体に完成度はすこぶる高く、まじめに造られたVWらしいオープンカーであることを、乗れば乗るほど実感させられる。
ちなみに、生産を担当するのはオズナブリュック工場の旧カルマンのライン(09年にカルマンを傘下に収めた)。新型カブリオレの生産においても、歴史あるカルマンの職人技が継承されていると考えていい。
また、シリーズ最新のカブリオレに乗ると、TSIやDSGの技術がさらに熟成されたことも実感する。ゆとりや力強さとスムーズネスを両立させた走りは、とても洗練されたもの。それで400万円を切るのだから、こいつは「値打ちモノ」だ。
|