フルモデルチェンジしたCLSクラスは“メルセデスらしい”スタイリングとなった。これまで、らしからぬデザインでアンチ・メルセデス層を開拓してきただけに、いささか驚きが隠せない側面もあるが、フロントマスクはSLクラスやCLクラスのようにも見える。要するにブランドアイデンティティの統一が図られたということだろう。
それじゃ新鮮味に欠けるかといえば、そこはメルセデス。彼らのやり方に抜かりはない。スタイリッシュな4ドアクーペのラインに磨きがかかり見る人の印象度を高めている。それに、ボディサイズが若干大きくなったのにも関わらず空気抵抗値を向上させているのはさすが。0.26というCD値はスポーツカー並みといえる。
ちなみに、アニキたちとの血縁を色濃くしたマスクは、ふたつのグリルが用意される。スリーポインテッドスター横の棒2本がCLS350で、1本が同AMGスポーツパッケージとCLS63AMGだ。1本版はSLS AMG似とも思える。
そしてヘッドライトにも仕掛けが。LEDパフォーマンスヘッドライトと呼ばれるそれは、片側71個のLEDを採用、対向車の有無をカメラで検知し自動的にロービームとハイビームを切り替える。メルセデスによるとLEDでこのシステムを持つのはCLSが世界初らしい。あいかわらず、ひとつひとつのモデルに“世界初”を搭載する姿勢は変わらない。
ハードウェアは基本的にこれまで同様Eクラスをベースとする。つまり、ベース車の進化にともないCLSはモデルチェンジされたともいえる。ただ、見てわかるように新デザインのボディシェルやオールアルミ製フレームレスドアを新規開発するなど、手の込んだつくりをしている。
エンジンは、CLS350ブルーエフィシェンシーに3.5L V6を、CLS63AMGに5.5L V8ツインターボを搭載する。前者は直噴式でクリーンディーゼルのように高噴射圧ピエゾインジェクターを持ち、リーンバーン(希薄燃焼)でシリンダーを動かす。そして、これにアイドリングストップ機能を組み合わせて、ライバルに差をつける省燃費を実現しようとする考えだ。で、驚いたのがこのECOスタート/ストップ機構。言ってしまえば、ポルシェよりもBMWよりもどこよりもナチュラル。直噴方式であることから着火点にシリンダーを動かして停める方式と考えられるが、このスムーズな走りだしは一級品だ。
ドライバーズシートに座っての印象は、太くて高いセンターコンソールに包まれ、見た目以上にスポーティな気持ちになる。ステアリングのグリップが太めなのもそんな感じだ。とはいえ、走り出すとスポーティというより気持ちのいい居住空間へと変わる。新たに採用されたパワステは油圧式から電気モーターでのアシストとなり、切りはじめから軽やかにスルスルとまわる。そして、比較的フラットなトルク特性のエンジンが、じつに気持ちよくスイスイ加速していく。進化した7Gトロニックがほとんど変速ショックを伝えないためか、この上なくシームレスな走りに感動だ。
そういった一連の動作に味をつけて各部をよりスポーティにしたのがCLS63AMG。エンジンに火が入った瞬間のサウンドからしてやられてしまう。「今日はそんな気分じゃないのに……」、と言いながら5分後にはアグレッシブな走りに酔うこと間違いない。SLS AMG登場以降、AMGシリーズの“やんちゃ度”は確実に上がっている。
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