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JEEP WRANGLER&WRANGLER UNLIMITED |
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モデル史上初の4ドアボディを設定
本格オフローダーとしての能力と快適性を両立 |
ジープブランドの核となるラングラーがフルモデルチェンジで5代目へと進化
モデル史上初となる4ドア「アンリミテッド」の設定とV6エンジンの採用という
2つの大きな変革を果たした新型ラングラーの魅力を現地からいち早くレポート! |
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渡辺敏文
本誌初登場の渡辺さんは、専門誌から一般誌まで幅広く活躍する超売れっ子。独自の切り口から展開されるインプレやコラムなど業界内のファンも多い。 |
拡大戦略を続けるジープブランドにとって、魂の拠り所となるアイコンといえばもちろんラングラーである。オリジナルラングラーにあたる多目的軍用車、ウイリスMBの登場は1941年。65年を超えた歴史の中、戦後にCJ、YJそしてTJ型と民生用の進化と普及を続けてきたこのクルマが、今年新たにJKという型式を背負って5代目としてデビューする。
新型となるJK型ラングラーは、歴史を守り続けてきた先達に対して2つの大きな決断を背負っている。ひとつは50年代から使い続けてきた直6OHVを廃しV6エンジンを標準としたこと、そしてモデル史上初となるロングホイールベース&4ドアボディの「アンリミテッド」を設定したことだ。
新たに採用されたV6エンジンは現行ボイジャーにも使われているOHVをリファインしたもので、3.8Lの排気量から198馬力の出力を発揮する。排気量こそ以前より小さくなったものの、より力強くかつオフロード走行に適した特性と、環境・騒音基準を両立したものになっていることは試乗でも充分確認できた。
このV6エンジンを搭載しながらオフローダーにとっての生命線である舵角を確保するため、新型ラングラーは先代に比べて各寸、とくに車幅がひと回り大きくなった。更に居住性が重視された4ドアのアンリミテッドは、2ドアのモデルに比べてじつに500mm以上ホイールベースが伸ばされ、全長は4750mm余に達している。この点がオフロード走行にどう影響するかは興味深いだろうが、大きな岩場や泥粘地が満載のコースで、僕のようなものが乗ったとしてもその長さが走破の足かせとなることはまったくなかった。
その走破性のキモとなるのは全面刷新されたシャシーだが、新型ラングラーのそれは、これが生命線だといわんがばかりに従来どおりのラダー&リジットで構成されている。ラダー剛性は曲げで50%、捻りで100%と飛躍的な向上をみせた。あわせて前後の5リンクコイルリジットサスもジオメトリーやアクスル剛性の高められた新設計となる。一方で、間もなく米国内での義務化が想定されるESPはオフロードプログラム付で搭載、そしてスタビライザーの反力を電気的に調整して低速域でのホイールストロークを上げるASBSが新たに採用されるなど、必要と思われるところには最低限の電子制御を加えたりという進化を拒んではいない。
ともあれ我々にとってもっとも有り難い新型ラングラーの進化は快適性の向上ということになると思う。とくに乗り心地においては隔世の感といっても過言ではない。もはや普通に有り体なSUVのつもりで買っても大きく裏切られることはない上に、最上級の悪路走破性を擁している。この点はぜひご期待いただきたい。 |
文●渡辺敏文 写真●ダイムラー・クライスラー日本 |
ボディタイプに待望の4ドアを設定
それぞれに幌屋根モデルも存在 |
ボディは従来の2ドア「ラングラー」に加えて、ロングホイールベースの4ドア「ラングラー・アンリミテッド」が加えられた。日本に導入されるグレードは2ドアが従来どおり幌屋根のエントリーモデル「スポーツ」とハードトップの「サハラ」、4ドアがハードトップのサハラのみの予定。そして2ドア+幌にはギア比やサスペンションがよりコンペティティブレートになったマニア待望の「ルビコン」が導入されるプランもあるという。 |
室内側から取り外し可能なトップで
開放感たっぷりのオープンドライブも |
全脱着式のハードトップ(日本では法規の関係で後席・荷室部を外して走行することは出来ない)は運転席上のみを室内側から簡単に2分割で取り外すことが可能。すなわちタルガトップ的なオープン走行を楽しむことが出来る。日欧仕様は歩行者保護要件を満たすために、潰れしろの大きな大型フロントバンパーが標準となる予定。ちなみに4ドア後席側の乗降性はサイドシルの高さを除き、間口等で不自由な思いをすることはない。 |
新採用のガソリンV6エンジンは
静粛性や燃費に優れる |
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日本導入のエンジンはガソリンV6のみの予定。同時に試乗した4気筒コモンレールディーゼルは中低速域のトルク感で若干勝るものの、音・振動等の面が許容しづらいものだった。このV6も従来の直6に比べると静粛性や燃費は大きく向上し、120km/h巡航では燃費計計測で軽く8km/L以上の値を記録。何より120km/h領域で助手席と会話を交わしながらリラックスしてドライブ出来ること自体、ラングラーとしては驚きの進化。 |
インテリアの質感は劇的に進化
ユーティリティは大幅に改善された |
ピュアオフローダーとしての割り切りがネガにも受け取られた前型に比べると、インテリアの質感は劇的に進化。パワーウインドウやレザートリムステアリングといった乗用車的なおもてなしもひと通り備えているほか、オプションでサブウーファー付のハイファイオーディオを選ぶことも可能になっている。4ドアの後席は座面長の短さを除き、スペースや着座感は充分に及第点。ヘッドレストを外すことなくフォールディング可能だ。 |
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