"愛国者"というアメリカ陸軍が持つ地対空迎撃ミサイルと同じ名前のパトリオット。昨年日本での発売が開始され、にわかに人気となっている。
ポジションはジープブランドの末っ子で、チェロキーの弟。とはいえ、中身はダッジ・キャリバーと共有するFFパッケージで構成される。それをフリーダムドライブ1という4WDシステムで4輪を駆動させる仕組みだ。要するに、モノコックボディのパッセンジャーカーというのがその正体となる。
ともすれば、これはジープの哲学から反する。ジープたるものセンターデフを持つ縦置きエンジンの4WDが習わしとなるからだ。
そんな疑い?を持って試乗したのがおよそ1年前、ステアリングを握って動き出した瞬間、「アレ?意外にいいかも」と思ったのを記憶している。そして今回、再びそのコクピットに腰を下ろしたのだが、ここでもまたいい感じに当時の印象を思い起こさせてくれた。
具体的には、乗り心地とその味がいい仕上がりをしている。フロントのダンパーを硬めながら接地感のある乗り心地はグラチェロ&コマンダー風。ステアリングの応答性もよく、ドライバビリティを得られる。この味はふたクラス上だ。しかも、それでいてこのサイズ。全長は短くワイドはそこそこあるため、扱いやすいながらも存在感を持つ。最小回転半径5.4mも実用的だ。それにこのスタイリングはグッとくる。
ちょっぴり不満だったのはエンジン。フツーに街乗りするだけなら感じないが、長い上り坂ではパンチが足りない。トルクの盛り上がりに欠け、音ばかりが先行するといった状況だ。これは多分にCVTとのマッチングなのかもしれない。パトリオットにかぎらず、燃費優先のCVTはファンな走りをスポイルしてしまう。今回はそこだけが残念に感じた。
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