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JEEP PATRIOT |
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■発表 2007・8 |
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カジュアルなジープがやってきた
先代チェロキーファンも納得のカタチ |
ここ最近、矢継ぎ早にニューモデルを発表するジープ
そんななか、コンパクトクラスに属するパトリオットが日本上陸
ルックス、サイズ、ユーティリティ、どれをとっても納得のデキだった |
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「やっとチェロキーから買い替えられるクルマが出ました……」
先代のチェロキー、あの四角いボディをずっと乗っているオーナーがこんなことをいいだした。なるほど、端から見ると現行チェロキーでもいいようなものだが、彼にしてみればちょっと違うようだ。やはりパトリオットの四角いボディがいいのだろう。
「カタチもそうですけど、値段もこのくらいじゃないと……」
たしかに、90年代中盤のチェロキーは300万円を切っていた。
さて、そんなパトリオットだが、こいつはジープ史上初がてんこ盛りになっている。結論からいうと、もはやジープであってジープではない。ダッジ・キャリバーと同じFF用プラットフォームから成り立っている。クライスラーグループの世界戦略車として開発されたシャシーにジープのスタイリングをかぶせたのがその正体だ。
いうまでもないが、これはいままでのジープのアイデンティティとはかけ離れる。フレームはラダー式かユニフレーム、エンジン縦置きでセンターデフ&4WDローギヤを持つのが基本的な構造だ。リヤサスもリジッドアクスルを定番とする。その意味でパトリオットは一部定説から逸脱する。丸型ヘッドライトと7スロットのグリルなどジープのアイコンを継承するも、中身は別モノなのだ。
もっというと、エンジンもそう。2.4L直4ユニットは、ダイムラー・クライスラーとヒュンダイ、三菱の3社による合弁会社グローバル・エンジン・マニュファクチャリング・アライアンスにより開発されたもの。つまり、ジープのオリジナル性は低く、キャリバーをはじめ今後さまざまなモデルに搭載される。
といったプロファイリングで、このクルマのステアリングを握る。ラングラーを数台とワゴニアを足にしてきた経験から辛口の評価になるのは至極当然のことだ。
が、至って正直にいうと、まずはクルマの“デキ”に驚いた。ボディ剛性、足のセッティング、ステアリング剛性など、あらゆる面で完成度が高い。多少ワイドトレッドということも関係するのだろう。一般道での走りは安定感が高くひとクラス上にも感じられる。
段差を乗り越えたときのいなし方からすると、現行チェロキーよりボディ剛性は高く、グランドチェロキーやコマンダーに近い。ただ、サスの伸び方と縮み方はいままでのジープとは違う味付けで、パッセンジャーカー的であった。まぁ、ジープファンからすれば少し肩すかしだが、一般的にはいいデキといえるだろう。
エンジンもVVT(デュアル可変バルブタイミング)の恩恵か、もたつく速度域はなく、長い上り坂でもダレることもなかった。税金のことも考えれば、既存のジープ乗りにとっても朗報だ。
さて、最後にオフロード性能であるが、今回はダートを数キロ走っただけなのでその実力はなんともいえない。ロックセクションをこなしてこそジープファミリーの一員であると信じている者にとって、その辺はナゾが残る。まぁ、このシステムとハイトからいってそう望めそうもないが、それでもリヤのアングルなどは深そうだ。また、日本仕様のフリーダムドライブ1というシステムは4WDローギアを持たないが、本国仕様はそれを持つフリーダムドライブ2もあるという。その点ではそちらを試したい。だた、マーケットを鑑みれば、フリーダムドライブ1でプライスを抑えるというのが賢い選択と考えられる。 |
文●九島辰也 写真●保坂 寛 |
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●ラングラー、チェロキー、グランドチェロキーの3兄弟が、いつのまにかこんな賑やかな状態に。コマンダー、ラングラー・アンリミテッド、そしてこのパトリオットが加わった。もちろん、正確にはこのほかに、ラングラー・ルビコンやグラチェロSRT8といった飛び道具も存在する。 |
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●「スポーツ」のクロスと「リミテッド」のレザーで素材が異なる。クロス地は汚れがつきにくい新素材。が、どちらもリヤシートは60対40の分割可倒式で、助手席はテーブルとしても使えるよう畳める。 |
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●ジープファミリーとは違うデザインのダッシュパネル。センターパネルとシフトパターンを見ればわかるが、ここの造形はキャリバーと同じ。ただしメーターまわりのデザインは異なる。ステアリングにはラック&ピニオン式を採用。 |
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●リヤゲートは跳ね上げ式を採用。広さはこんな感じ。すべて畳めば十分なスペースができる。 |
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●今回パトリオットに採用されたのは2.4L直4ツインカム16バルブ。マックスパワーは170馬力を発揮する。特徴はVVTを搭載することで、どの速度域でも十分なパワーを発揮するから頼もしい。このエンジンはヒュンダイ、三菱を加えた3社合弁会社が開発した世界戦略ユニットである。 |
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■ブライトシルバーメタリック ■ジープグリーンメタリック ■インフェルノレッドクリスタル
■ブラック ■スチールブルーメタリック
※ほか2色あり |
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ジープならではの四駆システム
フリーダムドライブ1でオフ走行も可能
パトリオットに搭載される4WDシステムはフリーダムドライブ1と呼ばれるもので、FWDをベースにしながらオンデマンドでリヤにトルク配分するというもの。その点でメーカーは1年を通した全天候型と呼んでいる。そしてさらにロックモードが備わり、路面状況の悪いところでは最大60%のトルクをリヤに伝える。これはリヤデフに備えられた電子制御カップリング(ECC)によって行われる。トルク配分に関してはESPが働き、それを決定づける。 |
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