アウディA5に、クーペ、カブリオレに続き第3のモデル、スポーツバックが登場した 流麗なスタイルにして高い実用性のこのモデルはボクらのほしい!を上手にカタチにした1台といえる
クーペとカブリオレを設定するA5を見て、「艶っぽくて、カッコいいクルマだな」と、心をときめかせた人は多いはず。でも、2ドア車には多くの制約がつきまとう。「家族で使うのに不便でしょ」などと奥さんからNGが出て、あきらめた例もあるのではないかと想像する。
だが、アウディの戦略に抜かりはなく、A5シリーズにファミリーユースにも十分対応できるスポーツバックを追加してきた。その基本コンセプトは、「クーペ、セダン、ワゴンのいいとこ取り」にある。
A5スポーツバックは、メルセデスCLSにはじまる4ドアクーペのトレンドに乗るモデルだが、ひねりを加えて大きなハッチバックを与えたのがカギ。ワゴンに迫る積載性を盛り込み、才能の幅を広げることに成功した。「ショッピングに便利」、「レジャーにも大活躍」と説得すれば、家族の賛同も得やすいはずだ。
ちなみに、2810mmのホイールベースはA4と共通(クーペ比60mm長い)で、後席の足元空間は十分な広さ。さらに、A4セダンより全高が50mmも低いにもかかわらず、不満のない頭上高も確保した。ヒップポイントの設定が低いため、乗降性(とくに後席)はA4と比べて見劣りするが、家族のクルマを基準としても居住性は合格点に達している。
そうしたユーティリティと、うっとりするほど美しいスタイルをバランスさせたのは、アウディデザインの実力の証明と言っていいだろう。
そして、走りの面でも、なにより光っているのはハイバランスだ。まずは動力性能。クーペ&カブリオレの心臓は3.2LV6だが、スポーツバックは4気筒の2.0TFSI(ターボ付き直噴ガソリン)を積む。
そこに引っかかるファンもいるだろうが、7速Sトロニック(いわゆるDCT)とのコンビは全域にわたって力感ある走りを生み出している。高速クルーズでは3Lクラスの6気筒搭載車に負けないゆとりと静粛性を提供し、峠道においても爽快かつ力強い走りを楽しませてくれるのだから、満足度はすこぶる高い。
燃費、税制などの経済性面で利点の多い2Lで、2階級上といえるほどたくましく、上質な走り味を実現したのだから、これは見逃せないところ。速さ、キレ、官能性の面ではV6の3.2FSIが優位だが、総合バランスを考えれば……2.0TFSI。スポーツバックの選択は正しい。
さらに、操縦安定性や乗り心地もうまくまとめあげた。大きなハッチバックを持つにもかかわらず、ボディの剛性感はビシッとしていて、良質な走りを実現する肝になっている。まずはスタビリティ。ウェットなどの悪条件もものともしない高度な安定感や安心感に、フルタイム4WDの草分けといえるクワトロが有する大きな価値が実感できる。
しかも、昔のクワトロとは違い、「曲がる」ことも得意とするから、峠道でのフットワークも輝いている。重量配分から見直した新世代プラットフォームや、前40対後60の後ろ寄り駆動力配分としたクワトロが、こうした場面でものを言うのだ。
ドイツ車らしく基本のシャシー設定はしっかり系。スポーツサス標準のSラインはよりハードめのタッチとなるが、オプションのダイナミックドライブを選択すれば、快適な乗り心地を両立させることが可能だ。「コンフォート」にセットしたときの足の動きはしなやかで、操舵力も軽めだから、味わいはまさに高級サルーンのよう。そして「ダイナミック」に切替えれば、手ごたえ感はガシッと、動きは敏捷に大変身。多彩で、奥深い走りを味わわせてくれる。
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