プレミアムクーペとして登場したA5に、新たにカブリオレが加わった。クーペよりもさらにエレガントさを増したボディと、重厚感のある走りで、上質なオープンドライブを堪能しよう
かつてアルファロメオでも才気を発揮したヴァルター・デ・シルバが、「私がデザインしたもっとも美しいクルマ」と語ったアウディA5カブリオレ。その容姿は、入念に仕立てられたファブリック製トップを着ても、脱いでもじつにエレガントだ!
理由はこだわりのソフトトップ。ルーフ形状や収納の面でより制約の多い格納式ハードトップでは、シルバの才を持ってしてもこれほどの美のバランスを実現するのは不可能だったはず。また、幌にはボディとトップのカラーコーディネートという、特別なおしゃれの楽しみもある。
さらに、トランク容量の確保や、オープン化に伴う重量増、重心高上昇の抑制の面でも、ハードトップに対しての優位性を持つ。逆に不利なのは防犯性や耐候性、洗車の容易性だが……。気になる静粛性や遮音性に関しても、A5カブリオレは高い実力を持つのだから、総合的に見てソフトトップを選んだのは正解だ。
では、走りのテイストは?クーペのA5は、正確なハンドリングに象徴されるスポーツ性が光るモデルだが、カブリオレの走りはいい意味で重厚。しっとりとしていて快適な乗り心地や、エレガントかつ穏やかな身のこなしを持ち味とする。
その違いを生むのは、クーペに対して260kg増加した車重。同じパワーパッケージを持つSUVのQ5と同等といえば、見た目より重量級であることが理解できるだろう。
クーペほど敏捷な動きや、正確な操縦性を望めないのは、重めの車重やゆるめのボディ剛性(オープンとしては一流)が足かせになるから。電制可変ダンパーとアクティブステアリングを組み合わせた「アウディドライブセレクト」(32万円のオプション)がカブリオレにも設定され、ダイナミックモードを選ぶとシャシーはグッと引き締まるが、それでもクーペほどの一体感は得られない。
逆に、乗り心地面では、重さがいい方向に作用。コンフォートモードを選んだときの快適性は、高級サルーン顔負けのレベルと言っていい。
そして動力性能。260kgの影響が心配されるが、265馬力の3.2L V6FSIと7速Sトロニック(いわゆるDCT=デュアル・クラッチ・トランスミッション)のコンビは、そもそも十分な余力を持っている。加えて、カブリオレは16%ほどギヤ比を落としているため、発進、加速とも印象はじつに頼もしい。0→100km/h加速6.9秒の実力といえば、能力の高さがわかるはずだ。
で、付け加えれば、近頃のアウディV6は回して楽しく、サウンドも耳に心地いい。しかも、Sトロニックは電光石火のパドル変速が可能だから、スポーティドライブに浸ることだって可能。そこでトップを開ければ、ドライビングの官能や刺激性は一段と高まる。オープンがもっともはまるのは流すペースの走りだが、たまには鞭を入れてみるのもいい。
エンジン搭載位置から見直した現行A4&A5のハンドリングは優秀で、カブリオレも峠道でスポーティな走りを楽しませてくれる。履いていたタイヤ(ピレリP7)のグリップ力や、ブレーキの耐フェード性に関しては注文もあるが、トータルで見れば満足できる能力を備えている。
加えて、駆動メカは前40・後60のトルク配分を持つ最新のクワトロだから、天候にかかわらない高性能を約束してくれる。とくに、高速域のスタビリティは圧倒的だ。
こうして見ていくと、エレガントなスタイルが、A5カブリオレの才能のひとつでしかないことがわかるはず。味わうほどに惚れ込み度が増す、深みのある上質なカブリオレだ。
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