|
BENZ BY DIESEL 環境云々でなく、走りのいいクルマとして評価できる |
|
|
|
|
環境云々でなく、走りのいいクルマとして評価できる |
最近、日本の自動車業界で欧州製ディーゼルをホメそやすのが流行ってる。どういうカラクリかは容易に想像がつくのだが、それはともかく、彼らの言い分は「アチラのディーゼルはクリーンでエコ」だ。
解説しよう。まずはクリーンの意味。かつて黒鉛と窒素酸化物という毒性物質の発生源と敵視されたディーゼルだが、最新のそれはたしかに出す毒は大いに減った。コモンレールという高性能な燃料噴射技術にターボをかけて、燃焼そのものがまず改善されたことに加え、黒鉛を貯めておくフィルターや窒素酸化物を分解する触媒の開発の進展があったからだ。そうした最新のディーゼルは欧州の排出ガス規制ユーロ4をパスし、現在の日本の規制にも通るレベルになっている。ただし、である。「大いに減った」のであって、「ゼロになった」のではない。
もう一方のエコとは、CO2についてのことだ。ディーゼルはCO2を出さないかのような言いっぷりをする人が頻出する昨今だが、そういう業界人に煙に撒かれてはいけない。ガソリンだろうとディーゼルだろうと、化石燃料を燃やすクルマは、すべからくCO2は排出してしまうのである。ディーゼルがCO2の面でエコだというのは、単に燃費がガソリンよりよく、燃やすぶんが少ないから、結果として出すCO2が少ないというだけのことである。燃費のよさに気をよくして走り回れば、貴方が出すCO2量はどんどん増えるのだ。
要するに、現状のところガソリンと欧州製の最新ディーゼルは、環境の面では結局のところ五十歩百歩。どちらがいいとか悪いとか、はっきりとは言い切れないレベルの差である。となると、とるべき態度は「走って嬉しいほうのエンジンがいい!」だ。
てなところに、ダイムラー・クライスラー日本によって、E320CDIが試験的に輸入された。エンジンは3LV6直噴コモンレール・ターボ。これが凄い。極低回転からみなぎるトルク。信号GPじゃ無敵だ。なにせその最大トルクは52kgmで、E500よりデカいのである。最高出力のほうはE280に劣る224馬力だから、絶対パワーがものをいう超高速では勢いはやや失うが、下道ではトルクの図太さでE320CDIは爆走する。そこらのスポーティ車を圧倒するその勢いは、かつてW124のE500と他車との格差を想い起こさせる。燃費もいい。圧巻の走りに気をよくして踏みまくって走った200kmで、12km/L台をキープした。大人しく走ればもっと行くだろう。ただしこのCDIは価格も高くなりそうだから、かなり距離を走る人かどうかで、トータルの費用対効果は左右されると思う。
エコだとか何だとか言う以前に、このE320CDIは、E500買うよりずっといいなあと思ったのでした。なお、このモデルは昨年のモーターショーでの発表のとおり、年内に導入される予定である。 |
|
|
●Eクラスのディーゼルは、直4の220CDI、V6は280CDIとこの320CDI、そしてV8の420CDI(最大トルク74.4kgm!)がある。 |
|
|
●乗ってスタートした瞬間からみなぎるトルクを実感できるE320CDI。ステアリングを握ると、なるほどと思わせる。 |
|
|
●320CDIのレブリミットは4600rpmと低い。だからベンツが使う最新7速ATの恩恵はとっても大きい。 |
|
|
|
|
●三元触媒を使えば理論的に毒をゼロにできるガソリンエンジンは、現実には完全にはゼロになってない。そしてディーゼルの毒ガス後処理システムは、今のところ理論上ですらゼロにはならない。それを考えると未来はけっして明るくはないのだが。 |
|
WORLD RECORD! |
メルセデス・ベンツE320CDIは、2005年4月、アメリカ、テキサス州の高速サーキットにおいて、「10万km平均時速225.903km」の世界速度記録を樹立した。高い速度で、しかも長時間走行した320CDIは、ディーゼルエンジンがもはやトラックやバスなどの大型商用車だけのものでないことを改めて証明した。 |
|
|
●今回の記録挑戦は3台の320CDIによって敢行された。速度記録のほか、合計22ものクラス世界記録をうち立てた。 |
|
|
|
|
|
|
バックナンバー |
|
|