| アルファロメオ164 |
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実用的セダンでありながらラテンなクルマ |
| スタイルで周囲が振り返るクルマ |
| 細かいトラブルも愛情でカバーしたくなるクルマ |
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半官半民企業からの脱皮中で もっとも苦しかった時期に誕生したアルファロメオ | 言っちゃあ悪いが、お薦めしません、アルファロメオ164。でも、とくに今回ここに登場の1台ならお薦めします。 今は小さいのから大きいのまですべてFFのアルファ。それまでは70年代の初めに出たアルファスッドから33を経て145というコンパクト系がFF、それより大きいのはずっとFRと分かれていた。そしてアルファスッドの一派は南のナポリに作られた別組織で作られていたので、ミラノ近郊の本社アレーゼは、長いこと直接的にはFFと縁がなかった。 余談だが、なぜナポリの別働隊だったかというと、あっち方面の経済発展が北より遅れていたので、基幹産業を持ち込んで活性化しようという国の政策があったため。今みたいにフィアットの傘下に入る前は、戦後のアルファは半官半民企業だったのだ。 それはともかく、ビッグ・アルファとしては初めて横置きエンジンのFFを作ったとき、アルファは「これからは全部FFか、それをベースとした4WDに集中して、もうFRは作りません」と宣言した。それから20年近くたった最近、また少し風向きが変わりそうだが、こうして見るとFFの歴史もずいぶん長い。 なぜFFになったかというと、当時の立場がそうだったから。かなり経営体質も弱っていたころで、そのくせエンジンとか金のかかる部品は自社製にこだわったから、シャシーやボディまで贅沢を言えなかったのだ。そこで親会社のフィアットから「こうしなさい」と命令されれば、ハイと従うしかなかった。 それが今から振り返るとトレンディだったとも言える。ブランドの枠を超えて共通のプラットフォームを使うのなんか、もうクルマ界じゃ半分常識だが、その先頭を切る作戦から生まれたのが164でもあった。しかも、4車の個性はしっかりと保たれた。 164の場合はトリノの名門ピニンファリーナがデザインを担当し、余計な装飾がなく簡潔ななかに華やかさや力強さも上手く盛り込んで、どう見てもアルファらしい感じを演出している。走らせても、ただの乗用車とはどこか違う。 156が大流行の昨今、あえて164を選ぶなんて、昨日今日の「にわかアルフィスタ」を見下すみたいで、そこはかとなく優越感が漂ったりするのではある。 |
| ●この当時のアルファロメオはけっして高い品質を保っていたとは言えないが、今回の試乗車は当たりだったらしく、ベルトが滑る音がする以外は絶好調。シフトチェンジに変なクセもなく、かなりピン状態の個体だった。 | | ●多大な影響力を持つピニンファリーナだが、1980年代から1990年代におけるまでの同社の活躍は本当に目覚ましかった。当時ピニンファリーナは、デザインメーカーから生産社へと変化の最中だった。 |
| 90年モデル・アルファロメオ164 3.0V6 ●全長×全幅×全高:4555×1760×1400mm ●車両重量:1440kg ●エンジン形式:V6SOHC ●総排気量:2959cc ●最高出力:192ps/5600rpm ●最大トルク:25.0kgm/3000rpm ●タイヤサイズ:前後195 /60VR15 |
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アルファロメオ164はこんなクルマだった | 事実上、最初のFFアルファロメオ シャシーは4モデル用の共同開発 | 1987年にデビューした164は、ビッグサルーンでFFという異色のクルマだった。当時のアルファロメオはFRが当たり前で、この164が初めてのFFアルファだったのである。で、なぜにFFを採用したかというと、当時経営不振に陥ったアルファロメオがフィアットの傘下に入り、たまたまフィアット、ランチア、そしてサーブが進めていたシャシーの共有化プロジェクトに参加する形で誕生したからである。だから同時代のフィアット・クロマもランチア・テーマも、164とはプラットフォームが姉妹になる。ここまでは同じグループだから当然だろうが、なんとスウェーデンのサーブ9000も、じつはほとんど共通の中身でできている。互いに違うのはエンジンと外観と室内だけ。この4姉妹でもっともスタイルがよいと評価されたあたりには、アルファの意地が見え隠れする。 | | ●デビュー当時のエンジンはイタリア国内では2L直4DOHCツインスパークと直4DOHCターボ、2.5Lターボディーゼルなどがあり、後に登場したQ4に搭載した3LV6エンジンは最初、輸出用だった。 |
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ハンター倶楽部部長 | | 熊倉重春(くまくら・しげはる) | 元CG誌編集長にして、現在はモータージャーナリストとして活躍。GooWORLDではハンター倶楽部の部長として、隠れ人気的な中古車を担当。先月予告したとおり、業界騒然の新装開店となりました。どうです、この中世騎士の格好がここまで似合う人はなかなかいません。いま、間違いなく業界で最先端を走っている(!?)と勝手に自負している部長と部員です。 |
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