ドイツ御三家を中心に築かれてきた「高級」の概念に
挑戦的な構えを見せる最近のフレンチ・ブランド。
独創的なデザインを中心に大胆に独自の「高級」を
掲げる彼らの急先鋒となるのがシトロエン。
個性派ブランドは自信いっぱいに輝いているのだ!
文●森野恭行、GooWORLD 写真●佐藤亮太
主要諸元
シトロエン DS5 Chic(6速AT) | |
全長×全幅×全高 | 4535×1870×1510mm |
ホイールベース | 2725mm |
車両重量 | 1550kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1598cc |
最高出力 | 156ps/6000rpm |
最大トルク | 24.5kg m/1400-3500rpm |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 225/50R17 |
新車価格
400万円 |
もはや哲学にまでおよぶ徹底したこだわりの造形
プジョーとシトロエンが、プラットフォームをはじめとするアーキテクチャーの統合や共用を積極的にはじめたのは、90年代に入ってからのことだったと思う。そうした方針転換により、信頼性は確実に高まった。が、デザインや走り味の面で個性が薄まったことは、旧来からのファンを悲しませる要素になっていた。
しかし、21世紀に入ってからのシトロエンは違う。プジョーとの差別化というより、シトロエンが伝統とするアバンギャルドなクルマづくりを推進するカタチで、個性あふれるモデルを次々送り出しているのだ。
わかりやすい例は最新のDS5。エクステリアも、インテリアも「これでもか!」というほど前衛的な仕立てになっている。デザインのこだわりや、つくりの入念さは、1000万円クラスの高級モデルにも負けないレベルと言っていい。
日産のデザインを統括する中村史郎チーフクリエイティブオフィサーにお会いした際に、その感動を伝えると……「今のシトロエンのデザインはやりすぎでしょう。コストをかけすぎているよ」という答えが返ってきた。つまり、デザイン界の重鎮も驚くほどの凝りようというわけだ。
見た目のインパクトで人を引きつけるクルマは多いが、ディテールのデザインや、細部のつくりやコーディネートでも見る者をうならせるクルマは、じつは数少ないものだ。そんな希有な例のひとつが、DS5だと言っていい。デザインで突っ走る現代シトロエンの代表は、極めつけの存在感でライバルを圧倒する!