輸入車の"Cセグメント"とは？

欧州実用車たちの激戦区アタマ抜け出すのは困難

C組は、ひと言でいえばゴルフのいる組。つまり、ヨーロッパでFFハッチバックの中核となる組です。

かつてはゴルフも他のC組のクルマたちも、頭からお尻までの長さは4mもなく、ちょうど今のB組くらいの大きさでした。だから前にも後ろにも人を乗せて日々の実用に使い倒すには十分の寸法で、じつにちょうどいいサイズだったわけです。ところが、モデルチェンジのたびに彼らの身体は大きくなっていきました。今や、長さは4.3mにもなり、幅にいたっては1.7m台後半というクラウンと同じような寸法になったクルマもいます。

こうなると、ただ実用度でいい成績を取ってるだけじゃあダメ。つまり全科目で80点以上を取るだけでなく、秀でた何かがいるようになった。クラブ活動とかやって、内申書に書いてもらえるようなことがないと、このC組では存在をアピールできなくなってしまったんですね。

現在のC組で、クラストップの優等生はやっぱりゴルフ君で、彼は全科目で好成績を並べているんですが、それだけじゃなくエンジンや駆動系で新しいワザを仕込んできました。エンジンを直噴にしたり、そこにスーパーチャージャーとターボを両方装備したりして、新世代の高性能をアピールした。しかし、何よりも他のクルマたちに差をつけたのがツインクラッチのトランスミッションでしょう。機械的にはMTなのにクラッチなしで操作できるこのシカケは、AT並のスムーズさとMT並の燃費を両立して、一躍ゴルフを組いちばんの人気者にしたのです。

一方で、おウチに伝わる伝統芸で勝負するクルマもいます。写真のC4君は、シトロエン家のご先祖譲りの独特な内外装デザインでアピールします。サイドガラスを凝った二重構造にして、遮音と断熱効果を狙うなんて隠しワザも使います。上の組でも、軽量化のためにガラスを薄くして、少々ウルサいクルマが増えているのに、C組でこんなことをやっているなんて偉いと思います。また147君もアルファロメオ家の伝統芸で魅せてくれます。かつてあった伝家の宝刀V6の濃厚な切れ味は、最新のV6にはない凄みで他を圧倒します。

ところでこのC組には、編入のような形で入ってきたクルマもいます。BMW1シリーズは、機械の中身はひとつ上のD組の3シリーズなのに、身体が小さいのでC組に入れられています。後輪を駆動して鮮やかに走る1シリーズは、C組では頭ひとつ抜けた存在といえるでしょう。またカングー君は配達用に造られた商用車。本当はこっちの普通科じゃなく商業科なんです。ところが足腰がじつにすばらしい。ルノー家伝統のその粘り腰は、本来の普通科C組の親戚メガーヌ君よりもルノーらしい味わいを持っています。

かつてはテストの点数が勝負だったこの組ですが、今やそういう持ち味や持ち芸が評価の分かれ目になっている。つまり「どう役立つか」じゃなく、「どう楽しめるか」で選ぶべき組になっているのです。