鋸山の奇観を堪能した一行は、房総半島を横断するべく、東西にまっすぐ走る長狭街道を進む。
その中間地点の道沿いから、急で細い山道を登ったところに「大山千枚田(おおやませんまいだ)」が静かにたたずんでいる。
田んぼ1枚1枚の面積が小さく急な斜面に設けられた棚田は、大型の農機が使いにくいなど、生産性の観点から、近年その数は減少の一途をたどっている。
しかし、まるで日本の昔話に出てくるようなその景色は、どこか懐かしく心休まるもの。麻美さんも「ずっと見ていても飽きないですね…田んぼっていいですね……」と、まるで農家に嫁いでしまいそうな様子でしばらく眺めていた。
ここ大山千枚田では、懐かしく幻想的な棚田の風景を守り、稲作農業への理解を深めてもらおうと、棚田オーナー制度を導入している。数年前から始められたこの制度は、一般の人から出資を募り、また実際に自分の田んぼで農作業も体験してもらうというもの。麻美さんも「わたしも買いた〜い!」と、物色を始めていた。
後ろ髪を引かれながら大山千枚田を後にした一行は、ふたたび房総半島横断の道のりにつく。一時、大雨と強風に見舞われた荒れ模様のこの日だが、V50は安心感を抱かせてくれた。
そして、いよいよ太平洋に出会った! 海からの風が心地よく吹き、疲れも吹き飛んだ。
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