10月までの08年輸入車ランクで、VWゴルフ、BMW3シリーズ、メルセデスCクラスに次ぐ車名別4位に位置するのはMINI。さらにブランドとしてのMINIも、ボルボやプジョーを押しのけて6位(トヨタを除けば5位)につけている。データを見れば改めて、MINIの人気の高さを実感することだろう。
強さの秘密は、「横置きFFの元祖」の歴史に裏づけられた本物感、何者にも似ていない独特のデザインや存在感、そしてクラシックMiniの時代からミニを支持してきた日本のファンの存在。BMWが“Mini”を“MINI”として再プロデュースする際、明確に「プレミアム」の方向を選択したことも、大きな成功をもたらす要因になった。
今、日本だけでなく、世界で大きな広がりを見せるプレミアムコンパクト。そのマーケットを開拓した立役者は……01年に登場したMINIだ。Miniが築いた英国伝統のデザインや文化と、ミュンヘンが誇る高い技術や品質を融合させて、新時代の小さなプレミアムカーを仕立てたBMWの手腕は見事だった。
で、07年モデルからMINIは第2世代へと発展。パッと見ただけではわかりにくいが、ウエッジシェイプを明確化したベルトライン(Bピラーの部分で18mm上がっている)や、ターンランプを内蔵したヘッドライト、シンプルな一体型に変更された六角形ラジエターグリル、大型化したリヤコンビランプなどが識別点。
全長はクーパーやONEで約50mm拡大したが、そのうちの38mmはフロントセクションの拡大に充てられている。目的のひとつは安全性で、歩行者保護の能力を向上させた。で、もうひとつの目的はエンジンルーム拡大。これで従来のトヨタ製1.4Lに代えて、新世代の1.6Lディーゼル(欧州で設定)が積めるようになった。
もちろん、進化のメスはメカニズムにもおよんでいる。象徴はエンジン。クライスラー系のSOHCユニットが、BMWが主導権を取ってプジョー・シトロエンと共同で開発したDOHCユニットに一新されたのだ。心臓の生産国がブラジルから英国に戻ったことは、熱烈なミニ信者にとっては間違いなく朗報だ。
そして、もうひとつのビッグニュースは“クラブマン”の登場。かつてのトラベラー/カントリーマンのDNAを継承するエステートモデルの登場で、MINIはまたもファン層を拡大することに成功! プレミアムコンパクト・ナンバー1ブランドの地位をさらに盤石にした。
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